サントリー食品インターナショナルは2024年8月24日から31日の期間、小学生の夏休みを体験できる「あの夏休み自販機」を開催した。イベントは、渋谷区のとある場所に設置された自動販売機から始まり、2004年の小学生の部屋で不思議な体験ができるという内容だ。同社の製品を前面に押し出さず、体験そのものに没入できるような仕掛けが施されたこの企画はどのようにして生まれたのか。
※本記事は11月29日発売の月刊『販促会議』2025年1月号で全文をお読みいただけます。
Amazonでのご購入はこちら
宣伝会議オンラインでのご購入はこちら
20年前の小学生の部屋にタイムスリップ?
夏休みの終わりにタイムスリップするという体験型イベント『あの夏休み自販機』。イベントを企画・実施したのは「C.C.レモン」「なっちゃん」「伊右衛門」ブランドなどを展開するサントリー食品インターナショナルだ。
イベントで体験できる物語は、渋谷の住宅街に設置された青い自販機から始まる。参加者はまず、その自販機のボタンを指定された方法で押す。すると、自販機の奥の家から突如カツヤという小学生の母親が玄関から登場。母親は、参加者を息子の友達として自宅に迎え入れ、カツヤの部屋に案内するという流れだ。
カツヤの部屋に通された参加者は、2004年当時から親しまれていた同社の「なっちゃん」や「C.C.レモン」でもてなされ、まるで友達の家に遊びに来た小学生の気分を味わうことができるイベントとなっている。
体験後の拡散を狙った 謎解きタイムスリップイベント
しかし、本イベントは“ただ小学生の部屋にタイムスリップした” 体験を提供することだけが目的ではない。メイントピックは、カツヤの部屋に隠された「ある秘密」に迫る謎解きの体験。参加者は、カツヤの母親との会話や、部屋にちりばめられたヒントを手掛かりに、真相を解明していくストーリーを楽しむことができるというものだ。
巧妙につくり込まれたシナリオとセットで2004年当時の世界にいるかのような没入感を参加者に与え、リアルなタイムスリップ体験を提供する本企画。イベント内では同社の商品を意図的に強調せず、体験の中でプロダクトプレイスメント的に登場させるだけにとどめているのも特徴だ。あくまで体験そのものに集中できるように設計された本企画は、どのようにして生まれたのだろうか。担当した同社の伊藤氏は「飲料の新しいコミュニケーションの形を模索
していた」と語る。