国内最大級のニュースアプリとして3000以上の媒体と提携し、ニュースや多様な情報コンテンツを提供しているSmartNews。「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションのもと、アルゴリズムによる記事選定と、ユーザーの興味関心に合わせたパーソナライズされた情報配信で多くの支持を集めている。
この情報プラットフォームを基盤に展開する広告事業においても、「ユーザーが新たな商品やサービスを“発見”し、新たなブランド体験ができるように届けるもの」という位置づけは変わらない。そんな急成長中の広告事業を支えるのは、日本発企業ならではの顧客密着型の開発体制だ。
日本市場に最適化された広告ソリューション
「ユーザーにとって質の高い広告体験を提供するために、広告主や広告代理店との緊密な連携を何よりも重視しています。クライアントのニーズを的確に捉え、柔軟で小回りの利く開発ができることがスマートニュースの強みです」。スマートニュースで広告プロダクト開発を統括するラメッシュ・ラマリンガム氏はこう語る。入社前は、Meta(Instagram)や米Yahoo!、Verizonといった大手プラットフォームで20年以上にわたり消費者向け製品・収益化製品の開発に携わってきた。
スマートニュース 広告プロダクト担当副社長 ラメッシュ・ラマリンガム(Ramesh Ramalingam)氏
同氏は主にアメリカ合衆国のカリフォルニア州に拠点を置いているが、訪日時は主要クライアントや広告代理店と直接対話する機会を設けているという。
「SmartNewsに入社して1年強になりますが、日本への出張時は必ず代理店などを訪問し、フィードバックを収集しています。米国でも同様です。主要なクライアントや当社スタッフと頻繁にミーティングを実施し、常に状況を把握して迅速な対応を心がけています」
SmartNewsの広告商品開発を担う東京を拠点とする開発チームは、地理的な近接性に加え、広告主や広告代理店と直接日本語でコミュニケーションを取れるという強みがある。市場調査や競合分析においても、この体制が顧客の潜在的なニーズや市場トレンドを深く理解する上で大きな利点となっている。
「これはグローバルな大手プラットフォーム企業とは一線を画す点です。日本の広告市場特有の商習慣や代理店との複雑な関係性を理解しているからこそ、日本の広告主にとって最適なソリューションを提供できるのだと考えています」
顧客の生の声を起点とした迅速な改善サイクル
SmartNewsの開発においては、顧客からの生のフィードバック(VOC=Voice of Customer)が最優先事項として位置づけられていることも特徴だ。営業チームやサポートチームを通じて集められた広告主や代理店からの意見は、速やかに開発チームに共有。ラマリンガム氏によれば、重要な改善事項であれば1~2日で改善することもあるという。
広告主や広告代理店からの声をもとに多くの機能改善を施している
「この日本を中心とした開発体制は、最近のアップデートにも反映されています。2024年4月にリリースされた新しい広告管理プラットフォーム『SmartNews Ads Ad Manager Version 2(以下、AMv2)』では、業界標準である3層構造(キャンペーン、広告グループ、広告)を採用しつつ、ユーザーインターフェースを改善しました。
業界標準の3層構造を取り入れると同時に、使いやすさを向上させたユーザーインターフェースを実現。さらに、広告プラットフォームを全面的に再構築することで、新機能をより迅速に開発し、広告主からのフィードバックに数日単位で対応できるようになりました。
リリース前には複数の広告主とのベータテストを実施し、その際に得られたフィードバックをプロダクトに反映することで、2024年4月の正式リリース時には大きな問題なくスムーズな移行を達成しました」
例えば、ある広告主から、コンバージョン数を増やすことを目標としたキャンペーンで、創意工夫して作成したターゲティングで広告配信しても十分な成果が得られないという課題が報告された。ターゲティングの絞り込みによってリーチできるユーザー数が限定され、コンバージョン数は増加するものの、全体的な数値が伸び悩むというジレンマに直面していたのだ。
「この課題に対し、私たちは14社の広告主や代理店にインタビューを実施して、より詳細な状況を把握することに努めました。コンバージョンの最大化を目指す広告主にとっては、従来のターゲティングよりも、機械学習を活用したオーディエンス選定の方が効果的であるという結論に至り、新たに『SMARTターゲティング』機能を開発したのです」
この機能は機械学習を用いて、広告主の目標(コンバージョン最大化など)を達成するために最適なオーディエンスを自動的に選択するというものだ。機械学習モデルは、過去の広告キャンペーン実績、広告のランディングページ情報、ユーザーのニュース閲覧行動など、従来よりも多彩なシグナルを活用し、コンバージョンポテンシャルが高いユーザーを特定。これにより、従来の手動ターゲティングで発生していたリーチ不足の問題を解消し、より多くのユーザーへ効果的にアプローチすることが可能だという。その効果は数字にも表れており、本機能を導入したキャンペーンでは、すでにCPAが6%改善する成果を挙げている。
「さらに、目標CPA入札機能のアップデートでは、広告主が設定した目標CPAに基づき、機械学習によって成果最大化を図る機能が追加されました。新たに導入された『学習期間(Learning Phase)』により、配信開始直後から成果を安定させることが可能になっています。また、広告効果を測定するPixelタグもアップデートされ、複数のコンバージョンイベントを測定できるようになりました。この測定データはAIにより分析され、より効果的な広告配信につなげています」
SmartNewsならではの機能である、「記事キーワードターゲティング」も進化している。広告主が特定のキーワード(例:特定の食品、野球、ミシュランなど)を設定することで、これらのキーワードに興味を持つユーザーをターゲティングできるという機能だ。記事タイトルに加えて記事本文も分析対象に加えることで、キーワードマッチングの精度を向上。ユーザーがキーワードを含む記事を閲覧した期間を指定できる機能も追加され、より効果的なターゲティングが可能になった。
「例えば、英会話に関する記事を読んでいるユーザーに英会話の広告を配信するといった、ユーザーの興味関心に基づいた精度の高いターゲティングが可能になりました」
ローカルビジネスへのソリューション提供も注力
SmartNewsは、広告の安全性とユーザーのプライバシー保護にも注力している。すべての広告は厳格な審査プロセスを経て配信され、機械学習を活用することで、リスクの高い広告は自動検出している。ユーザーからのフィードバックやアプリストアレビューも積極的に監視し、プラットフォームの安全性を維持するための取り組みを続けている。
また、ユーザーのプライバシー保護を徹底するため、広告主とのデータ共有にはデータクリーンルームを活用。電通などの広告代理店と連携し、個人を特定できない形で集計されたデータを提供することで、安全かつ効果的なデータ活用を支援している。
SmartNewsは、2025年以降も顧客密着型の開発体制を強化し、日本発のイノベーションで広告業界をリードしていく考えだ。ユーザーの興味関心に基づいた高度な広告配信をさらに進化させ、「ニュースコンテンツ主導型広告」の精度向上に注力することで、ユーザーと広告主双方にとって最適なマッチングを実現していく。
ラマリンガム氏は、「AMv2のさらなるパフォーマンス向上に加え、小売店など複数の店舗を持つ企業や地域密着型のビジネスに向けた新たなソリューションも提供していく予定です」と展望を述べた。
お問い合わせ