新指標で「売上」向上へアプローチ 事業貢献を実現する、広報のKPI設計とは

「メディアに特集されるも売上につながらなかった」「ターゲット顧客からの反応がない」─なぜ広報の成果は、ポイントからずれてしまうのか。事業貢献につながる広報とは何か。ビルコムの早川くらら氏に話を聞いた。

広報の成果を報告しても「売上に貢献したのか」と指摘されることはないだろうか。注力すべき広報分野の考えが経営層と異なり「すべき事が分からない」と悩む担当者も多い。「近年は、広報に “事業貢献” が求められるようになってきた」と語るのは、350社に導入される広報の効果測定ツール「PR Analyzer」を展開するビルコム取締役の早川くらら氏だ。

背景にあるのは、「広告と広報の壁の崩壊」「広報活動におけるデータ活用の進化」の2点。発信できる媒体や目的が多様化し、様々なデータを入手しやすくなったことが要因だ。

では、どうすれば「事業貢献」につながる広報が実現できるのか。KGI(重要目標達成指標)・KPI(重要業績評価指標)により、成果を可視化・計測化するのが重要だと早川氏。

そもそも広報のKGI・KPI指標は「アクション(広報活動)/アウトプット(広報の露出)/アウトカム(経営に貢献)」に分類。それぞれ量・質の観点から設定していく。これらを踏まえ、事業貢献を “計画的に” 行う極意として、以下4点を押さえたい。

①広報の先の最終目標の明確化
②現状分析に基づいた課題の設定
③経営課題と連動した目的の策定
④仮説を持ったPDCA循環の継続

新指標「PRパワー」の活用を

中でも①は、「売上」や「採用」など様々な目標が考えられ、どこに貢献したいかの明確化が欠かせない。「売上」の場合、広報がKPIにしがちな「テレビへの露出数」は、必ずしも売上につながらない。

そこで同社は、「売上=ブランド力×買いやすさ」という方程式を提唱。広報が貢献できる領域を「PRパワー」と定義し、「PRパワーで“ブランド力”を向上できる」仮説を立てた。

「PRパワー」を詳説すると、左側の4つの「ファネル」を段階的に押し上げる力を指す。「ファネル」は、右側の「PRパワースコア」(数値化できる指標)と連動。競合などと比較しながら、各「PRパワースコア」を可視化すると、自社の課題=注力すべき「広報活動」が見えてくる。逆説的に、課題から設定したKPIを達成できれば「PRパワー」が上がり、「売上」に貢献できる形だ。

イメージ 図「PRパワー」スコア化の考え方

図「PRパワー」スコア化の考え方
「スコア」から、どの「ファネル」が課題かを明らかにすることができる。

「PRパワースコア」は、「PR Analyzer」で収集した報道データ(掲載数やリーチ数等)から算出。さらに、Googleアナリティクス・Google Search Consoleと連携する新機能により、報道データとウェブアクセスデータを統合的に分析、広報施策による行動変容まで可視化できるものだ。

ただ③に挙げたように、最終目標が経営課題と連動していなければ、広報の成果は評価されない。KPI設計の際に、経営層の意図の確認や経営課題から逆算することも一案だ。「広報課題の明確化には、定量的な可視化が欠かせません。また広報成果は経営層などには理解されにくく、共通言語を土台とした定量化も求められます。この最適化のため、当社が提供する効果測定ツールなども活用してみてください」(早川氏)。

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早川くらら氏

ビルコム
取締役

2005年ビルコム株式会社に入社し、業界を問わずPR コンサルタントとして国内外大手クライアントのコミュニケーションプランニングや戦略立案から実行に携わる。その後、エージェンシー事業を統括。2015 年、同社取締役に就任。
現在は、広報・PR 効果測定ツール「PR Analyzer 」管掌役員として、時代や企業に合わせた効果測定の在り方について提唱する。戦略PR ・マーケティングに関する連載多数。

お問い合わせ

ビルコム株式会社

WEBサイト:https://www.bil.jp
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー11F
TEL:03-5413-2411


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