都市部を中心に店舗を展開するAKOMEYA TOKYO。日本全国から厳選した「食」にまつわる商品を取り扱っているのが特長で、「日本の食の可能性を拡げる」をミッションに掲げている。昨今は出店拡大も進め、好調さがうかがえる。その背景にあったのは超がつくほどのミッションドリブンな経営にあった。
社会課題の解決なくして事業は成立しない
━━AKOMEYA TOKYOは「日本の食の可能性を拡げる」をミッションに掲げています。
AKOMEYA TOKYOの経営の核にあるのがミッション、ビジョン、バリュー(MVV)の存在。AKOMEYA TOKYOは何のために事業を行うのかを指すのが「ミッション」、どんな未来になることを目指すかを示すのが「ビジョン」、そのミッションを達成するための行動指針が「バリュー」というイメージです。
コロナ禍に差し掛かったとき、多くの企業は自分たちが顧客に何を提供するのかに立ち返ったと思います。それと同時に、混乱や不安を抱える社員への対応も見直したはずです。それはAKOMEYA TOKYOも同じ。店舗の運営を支えてくれている社員や店舗スタッフにも、自分たちが何を目指すのかを明確に示すことが必要だと思いました。これがMVVを重視する1つの理由です。
一方でMVVに沿って事業を展開することで最も避けたいのは、AKOMEYA TOKYOの自己満足になることです。ここで重要なのがCSV経営。社会課題を解決する事業で、経済的価値を生み出すという考え方です。
例えば、AKOMEYA TOKYOは「日本の食の可能性を拡げる」をミッションに、そして「世界に誇れる“おいしい”の循環型社会」をビジョンに掲げています。CSV経営の考えに則れば、当社に求められるのは、“おいしい”の循環型社会を実現するために解決しなければならない社会課題を理解し、その課題を解決するための事業を展開していくことです。
AKOMEYA TOKYO 代表取締役社長 山本浩丈氏。
しかしそれと同時に重要になるのは、社員や店舗スタッフの共感。要は、AKOMEYA TOKYOがミッションやビジョンを達成するためには、どんな社会課題に立ち向かわなければいけないのかを共通認識として浸透させる必要があるんです。
そこで参照したのが、「日本の社会課題として重要と思うものは何か」を聞いた調査結果です。その調査では貧困問題や異常気象が上位に挙がる一方で、食糧問題(飢餓・食料の安定確保)も5本の指に入るほどの重要課題とされていました。その他には都心の一極集中や地方活性化、少子高齢化も挙げられていましたね。
何度も言いますが、AKOMEYA TOKYO事業の中心にあるのは、日本の「食」です。つまり、日本の「食文化」が廃れてしまうとAKOMEYA TOKYOとしても事業が成り立たなくなってしまうといえます。今はスマート農業などが進んでいるとはいえ、“おいしい”食材は地方で栽培されていたり、漁がおこなわれていることがほとんど。さらに、それら一次産業を担う方々は高齢である場合が多いです。
そう考えると、食糧問題という「食」にダイレクトにかかわる問題だけではなく、地域活性化も、少子高齢化も、AKOMEYA TOKYOが解決していかなければならない社会課題。それらの解決は事業を存続していくためには欠かせないのです。
企業のファンをつくることが事業成長と社会課題解決につながる
━━AKOMEYA TOKYOの事業存続には、社会課題の解決が必要不可欠なのですね。しかし、それらの課題をビジネスとしてどう解決していくのかは気になります。
まず、AKOMEYA TOKYOが「食の可能性を拡げる」というミッションを達成するために大事にしている立ち位置が、“Catalyst”としての役割と“語リスト”の役割です。“Catalyst”とは意味通り、あるものとあるものを結び付けて化学反応を促進させる触媒という意味。そして“語リスト”とは、当社が扱っている商品の良さ・魅力を語り継いでいく役割を指します。この両軸の役割をもって、私たちはビジョンを実現し、ミッションを達成していくことで事業を拡大していく方針です。
そもそも、AKOMEYA TOKYOにとってビジョンが達成されている状態とは