認知だけでは企業の最終目的である「売り」にはつながらない時代に入社した広告・マーケティング業界の若手プランナー。彼らは日々どのようなことを考えてクリエイティブに向き合い、自らの役割をどう認識しているのか。大広の花田光希氏、読売広告社の難波江侑矢氏の対談から探る。
※本記事は月刊『販促会議」2025年2月号の抜粋記事です。
体験から行動を喚起し、能動的に知ってもらう
──2人はそれぞれ広告クリエイターとして活躍なさっていますが、肩書は異なっています。
花田:大広でプランナーとコピーライターをしている花田です。CMやWeb動画などの企画がメインではあるのですが、最近はデジタルを使ったアクティベーション系のキャンペーンを担当することも増えてきました。担当案件はプランナー/コピーライターという肩書からあまりズレていないかもしれません。
難波江:読売広告社 アクティベーションプランナーの難波江です。最近はデジタルコンテンツやリアルイベントにおける体験設計やプランニングを担当することが多いですね。キャンペーンのような購買の動機づくりも担当しますが、まずはブランドを好きになってもらうための仕掛けづくりを大切にしています。
──現在はクリエイティブ職として日々仕事にあたっていますが、志していた「クリエイター像」と今の自分が感じる「クリエイター像」に違いを感じることはありますか。
花田:私は大学時代の専攻が建築設計で、実はあまりテレビを見ないタイプでした。ですがある日、偶然、コピー関連の書籍を読む機会があって。実は広告やコピーは、建築と同じで誰かの課題を解決するためのものだと気づいたことがクリエイティブを目指すきっかけでしたね。
建築では建物や設備といった“ハード” なものを扱うことが多かったのもあり、アイデアや言葉という“ソフト” な要素で課題解決へ導く様子が自由でスマートだと思って、クリエイティブ職に興味を持つようになりました。
難波江:私は逆に王道で、1 つのCMを好きになってこんな作品をつくりたいと思ったのがきっかけでした。たった60秒の映像でここまで人の心を動かすことができるのかと感動したのを覚えています。そして自分自身が広告クリエイターになってから実感したのは、いつの時代も「クリエイター像」の本質は変わらないということです。企業や商品が言いたいことを生活者が求めている文脈に置き換える「架け橋」のような役割が、クリエイターに求められていると思います。
とはいえ現在は情報過多で、広告を見てもすぐ忘れてしまう時代です。生活者に能動的に行動してもらい、情報を手に入れてもらうためにプランニングする力の重要性は増していると思います。
花田:本質はまさに難波江さんのおっしゃることに大共感です。領域や手法にはとらわれずに、情報を体験に昇華して届けられるクリエイターが求められていると思います。
──「情報を体験に昇華」とは具体的にどういうことでしょうか。
花田:私たちのような若手には、単なるマスコミュニケーションによる情報の伝達では実現し得ないような深いブランド体験で好意を醸成することも必要とされている気がしています……
……月刊『販促会議」2025年2月号では、本記事の続きをお読みいただけます!そのほか、近年増えている「自分自身への労い」や「ご褒美」という文脈で行われる“ご自愛”プロモーションについても掲載。「人が集まる、商品が売れる」アイデアと事例を多数紹介しています。
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月刊『販促会議』2025年2月号
【巻頭特集】
プランナー・クリエイターに求められる
「売り」へつなげる意識とスキル
【特集2】
“ご自愛”プロモーション