相談の敷居を下げるAI役所 約7割が満足した「メタバース役所」実証実験

心理的ハードルの低減で相談しやすい自治体を目指す

大日本印刷(DNP)と新潟県三条市はメタバースで住民の悩みを解消する実証実験を実施した。DNPが提供する「メタバース役所」に市役所職員を模したAIアバターを配置し、住民の相談に対応することで、不安や悩みの軽減効果を検証。他者に知られたくないセンシティブな悩みや問題を相談する上でAIアバターは有効であり、悩みの早期発見と対応につながる可能性があることが分かった。

「メタバース役所」空間での相談イメージ

実証実験は12月5~11日に実施し、34人が参加した。実験では相談テーマを「離婚」に設定し、AIアバターによって相談者が抱える課題の早期開示と対応につなげられることを検証。実際の相談では、配偶者との関係性や家庭内での不安や悩みなどに対してAIアバターが多様な選択肢を提示することで対応し、適切な支援機関への案内をサポートした。AIアバターと専門家がオペレーションするアバターを比較し、相談時の満足度なども検証した。

今回の実証では参加者の約6~7割がAIアバターからの回答結果に満足したという。利用者へのアンケートでは「緊張せず気軽に相談できた」(70%)、「心理的ハードルが下がった」(73%)といった回答が多く、AIアバターの有用性を確認できた。

「24時間受付可能であれば、もっと気軽に利用したい」と回答した人が82%にのぼり、時間的な制約が軽減されることも相談のハードルを下げる効果につながっていると見られる。「AI相談員への相談経験を通じて、自治体の支援サービスや手続きを実際に利用してみようと思った」との回答が64%を占め、参加者が支援制度や手続きに関心を持ち、積極的にアクセスするきっかけになることも確認できた。

今後、AIアバターの振る舞いを定義するプロンプトの内容を改善することで、回答満足度の向上を図る。AIと人間の相談員の住み分けも重要としており、それぞれに適している相談領域を深堀していく考えだ。

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