Q.平安から明治時代まで、多彩な舞台設定の歴史小説・時代小説を手掛け、歴史に馴染みのない人でも読みやすい、エンタテインメント性にあふれた物語が魅力のひとつである今村作品。そんな今村さんが小説家を目指したきっかけは、何だったのでしょうか。
小学5年生の時に池波正太郎の『真田太平記』を読んで以来、歴史小説の魅力の虜になりました。司馬遼太郎や山田風太郎の作品がお気に入りで、片っ端から読み漁って。
さまざまな作品を読んでいく中で、物語の続きを「こんな風に書いたら面白そう」と想像したりして、小説家に対する漠然とした憧れを抱くようになりました。
ただ、大学卒業後は家業のダンススクールを継ぎ、ダンスインストラクターに。長男として家業を守るべく、後継ぎとしての役割をまっとうしようと仕事に専念するうちに、小説とは距離が離れてしまったんです。
そんな時、スクールに通うある生徒が「もうダンスで夢なんて叶わない」と嘆いていたんです。それで僕は「せっかくの夢を諦めるなよ!」と励ましたら、「自分だって小説家になる夢を諦めてるくせに」と言い返されてしまって。その言葉を受けて1ミリの迷いもなく小説家になると即決しました。
今村さんの書籍の一部。作品においては、「商品としての価値」を重視した執筆を心掛けているという。
Q.最近の広告については、どのようにご覧になっていますか。
実は広告から作品の発想を得ることがよくあります。
特に、社会啓発や社会貢献を目的とする公共広告で発せられるメッセージを、さらに深掘りして、その広告のテーマの根源にあるものを見つけていくんです。
例えば、ある田舎を訪れた外国人に対して、言葉は拙くても真心で応えましょうと語り掛けるCMを見たときに、都会と田舎の間で偏りを感じたんですね。そこから、地方と中央の格差が大きかった平安時代を舞台にした小説を書こうと思いついたり。
広告も世相を映す鏡。歴史小説との親和性を感じますし、よく活用させてもらっています(笑)。
Q.2021年から書店経営にも乗り出し、2024年4月には、東京・神保町にシェア型書店「ほんまる」をオープンしたばかりの今村さんが、今後力を入れたいことについて教えてください。
今後は、書店減少に歯止めをかけ、出版業界を盛り上げ、地域活性化にもつなげるための活動に尽力したいです。
今村さんが2024年4月に東京・神保町にオープンした、シェア型書店「ほんまる」。棚主の個性が光る品揃えで、斬新な本選び体験を提供している。
令和を代表する歴史作家として名を残すために、これからも勝負作を書いていきます。書店経営も、「ほんまる」をモデルケースに地方にも展開していきたい。そして、世の中をざわつかせるような新感覚のCMを手掛けて、一世を風靡してみたいですね。
…今村さんのインタビュー記事全文は、月刊『宣伝会議』2025年2月号 に掲載。
月刊『宣伝会議』デジタルマガジンでは、過去12年分のバックナンバー記事を閲覧可能です。