これまで以上の売上成長、話題化を図るプロモーション戦略とは?

これまで以上の売上成長、話題化を図るプロモーション戦略とは?

競合と差別化を図るための新しいアイデアや顧客の定着を図る施策を模索している広報やマーケティング担当者は多いだろう。

本記事は2024年12月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024冬」から、注目セミナーをレポート。エイブルの赤星 昭江氏は企業間コラボレーションを、インテージの小川 大氏、ドコモの柿本 英明氏は変わる生活者意識と変わるメーカー販促について紹介した。

単身女性の課題解決に向けたエイブルの取り組み

不動産賃貸仲介のエイブルは、全国に約800店舗のネットワークで事業を展開している。赤星氏によると、エイブルの課題はブランド名称認知は高い一方で事業認知の低さ、少子化や非婚・晩婚化を背景としたLTVの拡大があったという。そこで2016年に単身女性向けCRMブランド「MAISON ABLE(メゾンエイブル)」を立ち上げ、ブランドPRを意識した企業コラボに取り組んだ。

写真 セミナーの様子

その結果、事業認知をはじめ、契約数、リピート率、会員数が増加。MAISON ABLEのビジョンを「ひとり暮らしを通して女性たちの自活・自立を応援することで、女性が豊かな生活・社会の実現」と掲げており、住まいだけでなく入居後の生活に寄り添いたいと考え、他企業とコラボ・共創することで「衣食住」での応援を行った。始めた背景に今後の単身世帯の増加が予測されること、女性の就業率が増加しているものの男女の賃金格差が主要先進国で最下位であることなど単身女性の生活を取り巻く課題を紹介した。

写真 人物 エイブル 赤星 昭江氏

MAISON ABLEは、エイブルでの契約に関係なく、国内単身女性なら誰でも入会でき、年会費・入会費は無料。仲介手数料が10%OFFになる「女子割」のほか、会員であればだれでも企業からの特典、ウェビナーやイベントへの参加ができる。新生活のタイミングでユーザーにアプローチしたい企業とこれまでに約150社以上とコラボしている。

入居者や会員を活用したPR施策とは

入居者を活用したPR施策事例として、会員と企業を巻き込んだイベントやサークル活動がある。回転スイーツが楽しめる「MAISON ABLE Cafe Ron Ron(メゾンエイブルカフェロンロン)」では、アパレル企業からパジャマを提供いただきジャマパーティーを開催。幻冬舎のファッション雑誌『GINGER』とはGINGER読者と会員を招いた特別スイーツパーティーを開催。メゾンエイブルのサークル活動では、カメラ好きな会員のための「メゾンエイブルカメラ部」とキヤ(大文字のヤ)ノンとABCクッキングスタジオとコラボしたスイーツ作り撮影会のほか、フェイスマスクのサボリーノが新商品として販売した日焼け止めスプレーの体験ができる、ひまわり畑撮影会などを企画しSNSでの投稿やUGCを促す機会を作った。また、パートナー企業26社と協業し、新聞の意見広告を出稿。米国で女性初の副大統領(カマラ・ハリス氏)が誕生することを受けて「『女性初』が、ニュースなんかじゃなくなる日まで。」とし、女性の社会進出の拡大を訴えた。

写真 セミナーの様子

コロナ禍にはクーポン特典を「仕送り」という表現へ変更。きっかけはコロナ禍に学生会員に行ったアンケートだった。コロナを理由にアルバイトを解雇され、親族等からの仕送りももらわずに家賃や生活費を自身ですべて負担している学生が全体の約2割程もいたことを受け、企業からの特典を仕送りと表現することで、不安な気持ち少しでも寄り添えたらと考えた。

そのほか、バーガーキングファンがSNSで自宅の近くにバーガーキングがないと訴える投稿に対してバーガーキング担当者からエイブルとのコラボでバーガーキングの店舗を軸にお部屋探しができるサイトを作れないかと相談を受け、「バーガーキングタウン」サイトを開設。リリース後、SNSで拡散され、ニュースやバラエティ番組で取り上げられ、広告換算費153百万円に相当する効果があった。最後にニチレイフーズとのコラボも紹介。冷凍食品の需要が高まる9月の台風シーズンに一人暮らしの人へ冷凍食品の詰め合わせをプレゼントするなど、社会や会員を取り巻く環境に対して、会員の不安に寄り添う情緒的価値の重要性を紹介した。赤星氏は「ひとり暮らしや新生活を始める層にアプローチをしたい企業がいましたら、ぜひコラボしましょう」と締めくくった。

シングルIDとフルファネルでマーケティング支援を実現

続いて、インテージの小川氏、ドコモの柿本氏がシングルIDとフルファネルによるマーケティング支援について紹介した。

写真 セミナーの様子

インテージとドコモは2023年10月に資本業務提携を締結。柿本氏は「ドコモの持つ日本最大級の約1億の会員基盤と、インテージHDの持つデータ収集から集計、分析、可視化、マスター化などデータの価値を高める『データハンドリング』のノウハウを組み合わせ、メーカー、小売り流通、サービス業の企業マーケティング課題に対応した生活者起点でのマーケティング強化を目指すため」と説明した。

生活者と社会環境の変化の傾向は

生活者は節約意識、物価高への対策に関心が高く、節約意識は高止まりの状況が続いており、長期化する値上がりに「節約疲れ」を感じる層も増加している。小川氏は「顧客体験全体の意識として、安さだけを求めた行動だけでなく、ポイントも含めたお買い物全体のお得さや無駄遣いを防ぐ計画購買など、お買い物スタイルの多様化が見える」と話す。

写真 人物 インテージ 小川 大氏

キャッシュレス決済の増加を中心に便利な購買環境の整備、ポイントサービスの市場拡大など購買環境は変化しているが、メーカーのマーケティング活動は新規顧客の獲得、獲得した顧客の定着化、LTV向上と変わらない。生活者一人ひとりのニーズや嗜好、購買行動の多様化、差別化が難しい時代だからこその顧客との関係強化、デジタル技術により広告販促でより高い効果が求められるようになってきているため、「『生活者中心の1to1マーケティング』や生活者データや購買データを起点とした『データドリブンマーケティング』へ変化しつつある」と柿本氏は説明する。しかし、メーカーにとっては生活者データの取得をはじめ、データを統合・分析し、施策に落とし込むノウハウがないことが課題だ。そこで、インテージとドコモの強みを生かして、データ起点のマーケティング活動の支援、一気通貫マーケティング活動の支援を目指す。

インテージとドコモが提供する「dマイレージ」

「dマイレージ」は、決済手段や購入店舗を限定せず、レシートとバーコードを登録するだけでお得にポイントを獲得できるサービスだ。柿本氏は「生活者に対して購買のお得さと楽しさを提供し、メーカーには新規顧客の獲得からリピート購入、定着化、購買データによる効果検証ができる」と説明する。

写真 人物 ドコモ 柿本 英明氏

レシートとバーコードを購買証明とすることで、決済手段を問わず全国の多様な流通店舗における購買を対象とした施策が可能に。流通チェーンとの調整が不要で、メーカー主導の販促ができるようになり、ドコモ会員基盤を対象に新規獲得からリピート購入促進まで実現ができる。

最後に「インテージとドコモの双方アセットを活用し、短期でなく中長期間内の販売数を増加させること、つまりLTVの向上に挑戦していく」と締めくくった。

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お問い合わせ

株式会社インテージ
マーケティングソリューション本部

EMAIL:dmileage-sales@intage.com

 

株式会社NTTドコモ
マーケティングイノベーション部

EMAIL:dmileage_mi@ml.nttdocomo.com

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