UCCの“飲まないコーヒー”「YOINED」 はなぜ爆発的にヒットしたのか

2023年11月にUCC上島珈琲から発売した「YOINEDヨインド」が、コーヒー好きの間で話題沸騰している。予約を受け付けるや否や、年内目標売上をわずか5日で達成。直営店舗には開店待ちの列ができるほどの爆発的ヒット商品となった。2024年11月にも、第2弾として再び販売を開始した「YOINED」が人気になった理由に迫る。
※本記事は『販促会議』2025年1月号連載「ヒットの仕掛け人に聞く」への掲載内容から抜粋してお届けします。

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小坂朋代氏

UCCジャパン
サステナビリティ経営推進本部
EC推進室 課長

2020年UCC上島珈琲株式会社入社。前職、ジュエリーブランドの広報宣伝部門での経験を活かし、入社初年度から複数のECモールでのプロモーションを企画、実施。さらに2022年末より「YOINED」のプロジェクトマネージャーも担っている。(部署名・役職名は2024年11月時点のものです)。

コーヒー好きが虜になる“食べる”コーヒー

━━“飲まないコーヒー”「YOINED」とはどのような製品なのでしょうか。

2023年11月1日に発売した「YOINEDヨインド」は、その名の通り「余韻」という言葉が由来になっている商品です。コーヒーを飲んでいるときを思い出してほしいのですが、鼻からダイレクトに嗅ぐ香りと、口から咀嚼して鼻腔にぬける香りとでは違いがありますよね。余韻の正体と言われているのは、後者の“鼻に抜ける香り”。YOINEDで楽しんでいただくのは、この余韻です。

ですが、「YOINED」の特徴は、“飲まないコーヒー”であること。食べて、コーヒーの強い香りを楽しむ製品です。見た目を見てもわかるように、かなりチョコレートに似ているのですが、カカオの含有率は0%で全く使用していません。なので、「チョコレート菓子」とも「レギュラーコーヒー」とも謳えない。これまでの枠にはまらない、前例のない製品なのです。

「YOINEDヨインド」
2023年11月1日に発売。自社ECでは予約開始後5日で初回納品分が売り切れ、発売前から大ヒットとなった。

販売チャネルは自社直営店舗と自社ECだったのですが、ECでは予約を開始し、わずか5日で初回納品分は売り切れ。これは発売前の出来事です。店舗にも開店待ちの列ができるなど、ありがたいことに盛況でした。2024年11月1日からも第2弾として再販を開始し、今年も好調な売れ行きで推移しています。

マーケターがマーケティングをしない組織をつくった

━━「前例がない」商品ということは、市場へのアプローチでも難しさを感じることが多そうです。

たしかに、これまでにまったく前例がない製品だったので、本当に市場に受け入れられるのか、受け入れられるためにはどうコミュニケーションを行えばよいのかという部分は悩んだのが正直なところです。

とくにネーミングやコンセプトは、商品が何者なのかをお客さまに示す重要な役割を担うので、慎重かつ時間をかけて考えましたね。

最初は私を含むマーケティング担当者で集まって、「食べる」や「固形」といった価値に着目した“イートコーヒー”のようなネーミングを検討していました。ですが、やはり“前例のない”という部分が私たちの気になっていたところでもあって。ここは外部の視点と製品開発者の思いを採り入れたほうがよいのでは、という話になりましたね。「YOINED」は“超”がつくほどのプロダクトアウトの商品なので、マーケター以外の視点から掘り下げた方が良いものができるものではないかと考えました。

そこで組成したのが、社内横断型の「YOINED」専門のマーケティング組織です。外部からブランディングのパートナーやデザインのパートナー。そして社内からは、製品開発者と店舗スタッフを集めて、“マーケターがマーケティングを考えない”組織として、発売までの準備を進めていきました。

━━外部の視点を盛り込んだことが、功を奏した1つの要因なのでしょうか。

マーケター以外の視点を入れたのは、前例のない製品だからこそ、製品を楽しむ消費者の目線が必要だと思ったからでした。私たちはお客さまに製品を「届ける」ことを生業にしている中で、“あれもこれも”と価値を伝えたくなってしまいがちです。

しかし今回はなおさら、これまでにない想像しがたい製品を、お客さまが理解しやすい形で発売を迎える必要がありました。お客さまに受け入れられるためには、お客さまの目線がないといけない、と強く感じたのが「YOINED」のマーケティングでしたね。

これまでにない製品はなぜヒットできたのか?

━━冒頭で、初回入荷分が予約開始から5日で完売してしまったとお聞きしました。想像はしていましたか。

「YOINED」は当社が発売する直販店舗のギフト製品と比較しても、数倍の量を用意していました。それほど自信のある商品だったのは間違いありませんが、ここまでの売れ行きは想像していませんでしたね。

メディアが取り上げてくださったことも要因として大きいですが、コーヒー好きの方の熱量や探求心を強く感じました。今までにはない情報感度でご購入される方々が多かった印象です。結果、公式ECで新製品の初動1週間の売上歴代No.1となりました。

━━初回入荷分が予約開始から5日で完売ということは、早い段階からプロモーションも行っていたということですか。

行ったのは、メディアへのPRのみです。先ほども述べたように、今回「YOINED」がヒットしたのは、メディアの皆さんが取り上げてくださったおかげです。

時間をかけたのは、やはりリリースの制作。お客さまがWebなどのニュースで目を惹くようなプレスリリースを書けるかが鍵でした。

マーケティング側としては、「日本初」という言葉を必ず入れたいと思っていましたね。かなりニュース性の高い言葉なので、入れたほうが良いことは確信していました。ですが、表現的にセンシティブな部分でもあるので、社内で密に連携しながら慎重に進めていきましたね。

あとは、故意的に“違和感”をつくることも意識しました。リリースでは――
 
 
本記事の全文は、月刊『販促会議』1月号本誌 、もしくはデジタル版(ご購読が必要です)にてお読みいただけます。

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