「飲みやすさ」と「社会貢献」で新規客層を開拓
キリンビールは、2024年4月に誕生した新ブランド「キリンビール 晴れ風」の2025年の販売目標を、前年比16%増の670万ケースに設定した。2024年の販売は目標の430万ケースを上回り、576万ケースを達成。新しい客層に向けたイメージ戦略が奏功し、普段ビールを飲まない層や社会貢献活動に関心のある若年層の取り込みが順調に進んでいる。今後は、主力ブランドである「キリン 一番搾り生ビール」と同等の販売規模に成長させることを目指し、2本柱で盛り上げていく考えだ。
マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の向井優夏氏
「晴れ風」は、限定品や派生品を除き、17年ぶりに同社から発売されたスタンダードビールの新ブランド。特徴的な青空色のパッケージは、「晴れた空の下で飲むビール」というコンセプトに合致するデザインを検討し、100種類以上の案の中から選ばれたという。発売から1カ月間の販売数量は、同社が過去15年間に発売したビール類の新商品の中で最大となり、1年間でビール類の飲用者の3分の1にあたる約1650万人以上が購入した。
インテージの調査によると、2024年の酒類購入者数はコロナ前の2017年と比較して7.0%減少。健康意識の高まりで、若年層の酒離れも進んでいる。市場が縮小傾向の中で、市場自体を活性化させることが不可欠だと考えた。1990年発売のロングセラーブランド「一番搾り」は、知名度の高さから新規客を十分に獲得できているものの、それだけでは十分にリーチできない層にも訴求できる新たなブランドを求めた。
その結果誕生した「晴れ風」は幅広い年齢層に購入されている点が特長で、普段ビールを飲まない層が手に取る機会が多く、同社の他のビールブランドと比較してもその割合が高いという。非ビールユーザーは開発当初からターゲットとして想定しており、調査ではビールを飲まない理由として「味が苦手」という意見が多かったため、飲みごたえと飲みやすさの両立にこだわった。