ナポリタン専門店 スパゲッティーのパンチョの出店ラッシュが続いている。都心では駅付近のビルで、郊外ではロードサイド店として見かけることも増えてきたのではないだろうか。好調さがうかがえるスパゲッティーのパンチョは、なぜナポリタンに着目し、顧客からの支持を得られてきているのか。CEOの野尻圭介氏が戦略と見据える未来を語った。
※本記事は『販促会議』2025年2月号連載「シン・トップの現場力」への掲載内容から再編集してお届けします。
パンチョCEO(パンチョ大王)野尻圭介氏。
2001年株式会社レインズインターナショナルに入社し、「しゃぶしゃぶ温野菜」の食べ放題導入に関わり爆発的店舗展開の足がかりとなり、ブランドのトップに就任。その後自身で会社を設立し飲食店を複数経営。2016年に株式会社B級グルメ研究所に入社し「スパゲッティーのパンチョ」に携わる。2022年に株式会社パンチョの事業分社化に伴いCEOに就任。現在に至る。
なぜナポリタン専門店なのか スパゲッティーのパンチョ創業秘話
━━「スパゲッティーのパンチョ」をよく見かけるようになりました。創業までの経緯を教えてください。
パンチョの親会社である5IVE GROUPは元々、B級グルメ研究所という会社で吉祥寺どんぶりという肉のスタミナ丼を提供する店舗を8~9店舗運営していました。名物はガッツリとした大盛りのどんぶりだったこともあり、男性会社員向けに提供していたのですが、そんなときに襲ったのが牛丼チェーンの価格競争やデフレです。手頃な値段で大盛りのごはんを提供することが難しくなったことで、経営が厳しくなってしまいました。
そこで、同じく男性会社員向けで、牛丼のように一品で「おいしい」を提供できるコンセプトを探していたところ、着目したのがスパゲッティーでした。
━━スパゲッティーというと女性の利用やデートでの利用が多いイメージもあります。なぜ男性向けでスパゲッティーだったのでしょうか。
たしかにスパゲッティーと聞くと男性が単身でふらっと立ち寄る印象はないですよね。ですが、このイメージこそスパゲッティーに着目した理由でもありました。
というのも先ほどから申しているとおり、当時は都内や郊外含めて、男性が1人で気軽に入れるスパゲッティー店は存在していなかったんですよ。今となっては他チェーン店も1人用席を用意するようになりましたが、当時は少なかったと言えます。だからこそ、男性向けのスパゲッティー店として経営していくことを決めたのです。
でも、最初はナポリタン1本に絞ることは考えておらず、複数の商品ラインナップがあるスパゲッティー店として展開しようとしていました。ですが、“好きなスパゲッティーランキング”のような市場調査の結果を見ると、必ずと言っていいほど上位にナポリタンやミートソースがランクインするのです。でもナポリタンって大人になればなるほど食べる機会はなくなっていきますよね。それなのにランキングに入る……。
B級グルメ研究所が求めていたのは単一の料理で、なおかつ男性会社員が満足できるお店です。ナポリタンはシンプルでオペレーション上大盛りにもしやすい。さらに何と言ってもナポリタン専門店は他に存在せずブルーオーシャンでした。そこに市場可能性を感じ、誕生したのがパンチョです。創業当時と変わらず現在も麺大盛りは無料。「改めて、ナポリタンはうまいと言わせたい。」というビジョンのもと、現在41店舗を展開しています(2024年12月4日現在)。
パンチョCEO(パンチョ大王)野尻圭介氏。