そのゴンチャ ジャパンのマーケティング本部でリーダーを務めるのは、香港出身のライ・ミシェルさんです。ゴンチャ ジャパンが拡大を狙う「ご褒美市場」とは、そして「マーケターにはならないと決めていた」と話すライさんは、どのようないきさつで現職に就くことになったのか、キャリア選択で大切にしていることとは。マスメディアンのキャリアコンサルタント・荒川直哉が伺いました。
【前回はこちら】
なんでもできるから、進路がぼんやりしていた
━━香港ご出身のライさんは、大学生時代、どのように卒業後の進路を考えていたんですか?
学生時代から、いろんなことを器用にこなせたんです。苦手なことが少なくて。文武両道というのか、学生時代は、理系も文系もスポーツも、それから芸術も全部成績が良かったです。
何でもできる人には「あるある」だと思うのですが、逆に自分が何をやりたいのかがわからず、進むべき道がはっきり見えていませんでした。
だったらいっそ、やったことがないことに挑戦しようと。私が通った商学部は、学んだことを生かして、ほとんどの人が金融かマーケティングの分野に就職します。だから、私はこの2つを早々に選択肢から外しました。敷かれたレールに乗らないのは勇気がいります。でもそれが私の成長につながると考えたんです。
ゴンチャ ジャパン
マーケティング本部スペシャリスト
ライ・ミシェル 氏
香港中文大学を卒業後に来日し、2015年良品計画入社。3年間の店舗勤務後、2018年にマーケティング部門へ。現場と全体を見渡す視点を磨く。退職後はフリーランスのデザイナーを経て、2022年ゴンチャジャパン入社。マーケターとしてブランド認知を向上させ、売上の継続的な成長に貢献。マーケティング&クリエイティブの二刀流で顧客に「HAPPINESS」を届ける体験を創出する。
━━それで海外で就職することにしたわけですね。良品計画を選んだのはなぜ?
チャレンジするなら、やっぱり好きなブランドがいいですから。
━━海外で働くことに抵抗はなかったですか?
それはなかったです。親が日本のドラマを見て、「最初の2年間はお茶出ししかやらせてもらえないかもよ」と言うので、「ちょっと大変かな」と思ったくらいで。もちろん、それは昔の話で、実際の職場は違いましたけどね(笑)。
━━「マーケティングを選択肢から外した」とのことですが、現在はマーケターとして活躍しています。どのような心境の変化があったのか教えてください。
良品計画に入社後は、店舗スタッフとして働いていました。シフト管理システムの改善など、さまざまなことを提案したりして、やりがいを感じていたんです。ところが、3年が経ったとき、マーケティング部門への異動を言い渡されて。
━━では、異動は不本意だったと?
そうですね、最初は。でも実際やってみると、けっこう面白くて(笑)。マーケティングの領域でもっと仕事の幅を広げたくなり、ゴンチャ ジャパンへの転職を決めました。ゴンチャのマーケティング部門は、コミュニケーションだけでなく商品企画にも携わる。ここに、面白みと自分の成長の可能性を感じています。