テレビCMは本当に終わりなのか? 指名検索スコア推移から分析する

2025年1月中旬、「フジテレビ問題」は、テレビ業界に大きな衝撃を与えました。人気タレント・中居正広氏の女性トラブル疑惑にフジテレビ社員が関与していたとの報道を受け、多くのスポンサー企業がフジテレビへのCM出稿を一斉に停止。結果として、公共広告(ACジャパン)が大量に放映される異例の事態が発生しました。これを受け、「テレビ広告の時代は終わったのか?」という声も聞かれましたが、果たして事態はどうなのでしょうか。
 
本稿では、ノバセルが提供するテレビCMの効果測定サービス「ノバセルトレンド」の最新データをもとに、フジテレビを含む主要キー局の指名検索スコア(CM放映前後で増加したブランド名検索数をCM本数で割った独自指標)の推移を分析し、テレビ広告の今後を考察します。

フジテレビ問題の行方に注目するスポンサー

1月17日に行われたフジテレビ社長の会見は一部メディアのみの参加となり、映像撮影も禁止するなど“閉鎖的”な形式が批判を浴びました。その結果、「局の危機管理体制やガバナンスに疑念を抱く」として多数のスポンサーがCMを引き上げました。1月下旬にはフジテレビ枠の大半がACジャパン広告に差し替えられる状況となりました。

写真 フジテレビ社

スポンサー企業の判断には「テレビCMを止めてもビジネスに大きな影響はないのでは」という見方もあれば、「炎上リスクを避ける」というリスク管理における慎重な姿勢の両方が見られました。

こうした動きが、「テレビ広告の終焉」という論調を生んだ側面もあります。


指名検索スコアを見ると、テレビCMの影響力は顕在

「スポンサーが離れた=テレビ広告の効果がゼロ」という図式は、はたして正しいのでしょうか。ここで役立つのが、ノバセル独自の効果測定指標である「指名検索スコア」です。これは、CM放映直後に増加したブランド名の検索数をCM放映本数で割ることで、CM1本あたりがどれほど検索行動を誘発したかを測定するものです。

指名検索スコア = CM放映前後のブランド検索数増加分 ÷ CM放映数
● スコアが高ければ高いほど、「CMが視聴者の検索・興味喚起を促した」度合いが大きいと推定できます。

視聴率やGRP(延べ視聴率)といった従来の指標では測りきれない、「CMを見て興味を持った→検索した」というダイレクトな行動反応を捉える上で、非常に有用なデータです。

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田部 正樹(ラクスル上級執行役員CMO/SVP of Novasell 兼 ノバセル 代表取締役社長)
田部 正樹(ラクスル上級執行役員CMO/SVP of Novasell 兼 ノバセル 代表取締役社長)

1980年生まれ。大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年にテイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。14年8月にラクスル入社。マーケティング部長を経て、16年10月から現職に就任。ラクスルの成長をけん引したマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業「ノバセル」を立ち上げ、マーケティングの民主化をビジョンに急成長を続けている。22年にノバセルを分社化、代表取締役社長に就任。業界問わず成長を求める企業の経営×マーケティングのアドバイザー。経済産業省主催「始動」講師/メンター。著書に『指名検索マーケティング』(翔泳社)

田部 正樹(ラクスル上級執行役員CMO/SVP of Novasell 兼 ノバセル 代表取締役社長)

1980年生まれ。大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年にテイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。14年8月にラクスル入社。マーケティング部長を経て、16年10月から現職に就任。ラクスルの成長をけん引したマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業「ノバセル」を立ち上げ、マーケティングの民主化をビジョンに急成長を続けている。22年にノバセルを分社化、代表取締役社長に就任。業界問わず成長を求める企業の経営×マーケティングのアドバイザー。経済産業省主催「始動」講師/メンター。著書に『指名検索マーケティング』(翔泳社)

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