Q1:現在の仕事内容について教えてください。
はじめまして!岩手県二戸市役所の小森と申します。はじめに、二戸市のことを簡単に紹介させてください。
岩手県二戸市は、岩手県の北部に位置し、人口約2.4万人が住む豊かな自然と伝統文化が息づくまちです。日本一の漆の産地として知られ、浄法寺漆は高品質な国産漆として評価されています。観光では、国指定史跡・九戸城跡や、「二戸まつり」、シーズンは限られますが、折爪岳のヒメボタルや天台寺のアジサイが魅力です。交通は、東北新幹線・IGRいわて銀河鉄道の二戸駅があり、盛岡や東京へのアクセスも良好なまちです。
私は、このまちで広報業務全般を担当しています。
Q2:貴組織における広報部門が管轄する仕事の領域について教えてください。
私の所属する情報企画課の広報係では、毎月2回発行する「広報にのへ」の企画・取材・編集、市公式SNSの更新、市ホームページの管理、報道機関へ向けたプレスリリースの作成などを担っています。また、市民の声を聴く重要な役割も担っています。
Q3:ご自身が大事にしている「自治体広報における実践の哲学」をお聞かせください。
哲学とまでは言えませんが、大切にしていることが2つあります。1つ目は、行政とまちに暮らす皆さんの中間の立ち位置にいることです。
広報紙に掲載する行政からのお知らせには、専門用語が多く含まれることがあります。そのため、担当課から頂いた原稿の段階では、制作する私たち自身も内容が理解しづらいことが。きっと、手にとって初めてその言葉に触れるまちの人はもっと分からないことが多いのかなと思います。難しく感じる言葉は、担当課の職員からお話を聞いて、可能な限り分かりやすい言葉に変えることが多いです。
広報として、何か参加してほしいことの案内や、こんな便利な制度があるよと伝え、まちの人が暮らしのために行動に移すきっかけをつくることも、大切な役割だと思っています。
2つ目は、声を聞くことです。
私は、広報担当になってようやく「まちには人がいなければ成り立たない」と気づくことができました。そのためにもまちの人の声を聞くことは、欠かせないと感じています。そう気づかせてくれたのが令和5年に取り組んだ「居場所づくり」の取材でした。この特集で出会ったのが、地域住民が力を合わせて、子ども食堂や親子の居場所をつくる皆さんです。
うまくいっている所もそうでない部分も、ありのままをお話ししてくださり、その思いを届けたいと初めて思えた瞬間でした。正直、上手く紙面にできたかは不安な部分が多かったです。ですが、完成した後に皆さんから「ありがとう、宝物です」と言ってもらえたことが何よりも喜びでした。
広報紙に掲載させていただいた後、活動の輪が広がり、新たな仲間が増えるなど前進していると伺いました。本当に嬉しく思います。声を聞いて伝えることが、頑張る人たちの背中をほんのちょっとでも押せたなら、それだけで十分だと心にとどめています。
Q4:自治体ならではの広報の苦労する点、逆に自治体広報ならではのやりがいや可能性についてお聞かせください。
担当になる前は「広報担当=大変だ」という漠然としたイメージしかありませんでした。
苦労したのは、文章を書くことはもちろん、カメラのこともデザインのことも分からないので、担当になった当初は悩んでばかり。そんな中でしたが、二戸市の広報担当職員は2人いて、担当同士で悩みを共有し合うことはもちろん、前任、前前任者などが助けてくれた部分は大きかったです。
また、他自治体の広報担当の皆さんの高い「志」にも何度も救われました。どのまちの担当者のみなさんもまさに職人。広報紙だけでなくSNSなども見ているとほっとして、あたたかさを感じる。知らない場所のはずなのに、なぜか「行ってみたい!」と思います。
熱意を持って取り組む皆さんと出会い、何より『まちの魅力に気づけていなかった私』が、『二戸にも面白いものや魅力的な人がまだまだいる』と気づき、まちのことを好きになれたこと。「二戸には何にもないな、」なんていう人にも「こんな所があるよ!」と紹介できるようになったことは、広報活動を通じてできるようになったことです。
自治体広報としてのやりがいは、ほかのメディアでは取材できないような主役(まちの人)に出会い、光を当てられること。それにこたえ、誰かの背中を少しでも押すことができる所も特別なやりがいだなと思います。
【次回のコラムの担当者は?】
栗原市企画部市政情報課 広報統計係の伊藤宏文さんです。
