外資系企業を中心としたリード獲得の考え方と最新潮流とは?

BtoB企業にとってリード獲得は、見込み客を開拓する上で欠かせない重要施策。ただ、展示会やネット広告、ホワイトペーパー、ウェビナーなど、リード獲得チャネルの選択肢は年々増加しており、最適な手法を見極めるのは容易ではない。

「リード獲得研究会」の第2回研究会が2月26日に開催された。リード獲得施策から受注を増やすための具体的なノウハウや事例について、今回は日本経済広告社(ADEX)より発表があった。

写真 人物 末武直樹氏

リードの数ではなく、質を重視。セールスにつながるリードなのか?

登壇したのは、第四営業本部第三営業局局長の末武直樹氏。入社以来、外資系IT企業を中心に担当しており、デジタル、イベント、ブランディングなど幅広くBtoBマーケティングに精通している。

末武氏によれば、「リードジェネレーション(リードジェン/見込み顧客を獲得するための活動)において大切なポイントは“戦略を決めること”」だという。末武氏は「当たり前のことであるが、多くの企業が、意外とこれをしていないことが多い」と感じてきた。例えば1クオーターでリード500件を獲得するという目標を立てるが、施策によって、その質が異なることに着目していない企業が多い。

展示会では大量獲得が見込めるし、リスティングなら能動的に調べている企業と出会うことができる。これを「リード数」として一括りにしては、本質は見えてこない。そこで末武氏が良いリードジェン施策として考えるのは「“セールスにつながるリード”を獲得できる施策かどうか」である。獲得件数の目標を達成しても、セールスにつながらなければ、達成の意味は薄れる。どのメディア、手法でリードジェンをするのかよりも前に、きちんと戦略を立てることが重要なのだ。

イメージ リードジェンの種類

BtoB企業は、どのようにリードジェン施策の戦略を決めるべきなのか

戦略を考えるSTEP1は、「自社にとってベストなリードを考える」こと。過去の商談、成約のリードを分析して、ターゲットの属性を導き出すことが大切だ。マーケティングにおけるペルソナのように詳細でなくても「従業員規模1000人以上」「課長職以上」「業種はこだわらない」「職種は営業かマーケ」といった、自社にとって商談化しやすい属性を洗い出すことで成果は変わるという。

続いてSTEP2は、「量か質か、スケジュールを考える」こと。よくある事例として、「そもそも対応できるセールスが少ない」状況では「大量にリード獲得しても、全然フォローができない」といった問題が起こる。リードは時間が経てば経つほど鮮度が落ちるものであり、このような場合はメディアでのリード獲得など、一定数が長期的に入る形を検討すべきだと提案する。

またスケジューリングも重要だという。「3月は決算でクロージングに入るので新規リードは不要」「9月に大規模の自社セミナーがあるので、そこへ呼び込むために7月に獲得を最大化したい」といったことも考えるべきだ。

リードジェンに力を入れている外資系企業が取り組む3つのポイント

ここまでを基礎的な考え方として紹介し、さらに進んだ企業の取り組みとして、3つのポイントを紹介した。一つ目は、スコアリング、社内の関係各所で合意した優先的にフォローすべきリード先の属性やアクションを点数化することだ。属性なら従業員500人以上は5pt、役員クラスなら10pt、アクションなら自社サイトの訪問で5pt、製品デモ視聴で30ptなど、各項目を合計して、そのリードの価値を評価して、優先順位をつけている。

二つ目は、“浅い段階からのリード獲得”から“ホットなリードになるまで”のジャーニーを明確化すること。ナーチャリングジャーニーを明らかにすることで、見込み顧客を問い合わせ=商談に結び付けるための段階を、どのような施策によって進めるかを設計している。

そして三つ目が、1.2に続くアクションとして、ホットになったリードをフォローする運用フローを策定しておくこと。ホットリードのフォローはもちろんのこと、「そこから落ちてしまった後にどうするか」「ナーチャリングの成功フローから途中で落ちたリードをどう活用するか」を決めておくだけでも、その後の成果は全く違うという。

イメージ 登壇中の末武直樹氏

リードジェンに力を入れている外資系企業が取り組むリード獲得の最新トレンド

「リードジェンに力を入れている企業も、共通課題が浮き彫りになっている」と末武氏。一つは、地方のリードが取れないことだ。オンラインでのプロモーションは、ユーザーの6~7割が首都圏である場合が多く、地方のリードが不足してしまう。もう一つは、エンタープライズ企業の商談が進まないこと。そして役職者に会えないことも、多くの企業が課題として感じている。

末武氏はそれぞれ対策として例を紹介。地方では現地でのセミナーやイベントを開催することが最も効果的だと考えている。また、次からの課題を把握するための考えとして、とくに大企業においては、「情報収集する人と決済する人は別」であり「1つのリードでは完結しない」と力説する。

2つ目の課題であるエンタープライズ企業の商談が進まないことについては、一つの接点から膨らますのではなく、複数の接点を持つことが必要であり、そのためには、具体的な企業・団体(アカウント)をターゲットとして設定するABM(Account Based Marketing)の考え方を用いることが有効だという。

施策としては、いま成果が出ている取り組みの一例として、海外メディアでの展開を紹介。グローバル展開をしていることの多いエンタープライズ企業をターゲットに、海外メディアで情報収集している層へのアプローチを目指す手法だ。感度の高いリードが獲得できるとともに、獲得単価も安価に押さえられるという。3つ目の役職者に会えないという課題には、C-Class Marketingを実施。Cクラス以上に会える施策として、少人数のエグゼクティブラウンドテーブルを効果的な手法として挙げた。

戦略をきちんと定め、ターゲットや質と量を考えたプランニングを行うこと。スコアリングやナーチャリング、コンテンツ戦略を緻密に考え行うこと。外資系企業の先端事例から、BtoB企業がとるべきリード獲得の施策が見えてきた。

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イメージ サマリー


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