起動の速さに驚き
マイクロソフトのWindows 8 Consumer Preview(消費者プレビュー)が2月29日に公開され、初めて一般向けにプレリリース版が配布された。筆者も未使用のパソコンにWindows 8 Consumer Previewをインストールして試してみたが、これはかなりいけるのではないかと思っている(注:いったんWindows 8をダウンロードすると、パソコンを簡単には元の状態に戻すことが出来なくなるので、現在未使用のものをお奨めする)。1995年11月23日にWindows 95が発売されたときと似たようなわくわく感を覚えたのである。
まず、インストールして驚かされるのが、その起動の早さ。今まではパソコンの起動にかなりイライラを覚える人も多かっただろうが、約10秒で立ち上がった。これまでの待ち時間によるストレスが格段に改善されており、今後もっと早くなることが予想される。そして、Windows 8は完全に新しくなったMetro UI(下の写真参照)と従来のクラシックデスクトップ UIの2種類が搭載されており、簡単に切り替えることができるのだが、このMetro UIはWindows 95のとき以来の画期的なUI(ユーザーインターフェィス)の変更であり、デスクトップでもタブレットとしても活用できるように考えられている。
Metro UIの操作性については、まだ慣れていないせいか最初はあえてマニュアルなどを見ずに直感的に操作していたのであるが、画面の角や端を操作するとメニューが表れるなどのことがわからずに苦労した。ただしそれが一旦わかるとそれなりにスムーズに操作することができた。今回はノートパソコンにインストールしたためにマウスでの操作になったが、タブレット型に入れたときの操作性は格段に良いのではと予感させるには十分なものであったので、チャンスがあればぜひ触ってみたいと思う。
スマホ・タブレット時代のキラーOSとなるか
Windowsの歴史を振り返ると、昔はコマンドを打ち込んでプログラムを起動するなどのインターフェィスであったのが、1984年にアップル社のパソコンMacintosh(マッキントッシュ)がMac OSというオペレーティングシステム(OS)を導入した際に直感的なグラフィカルユーザインタフェース (GUI) を採用しヒットにつながった。それ以来マウスとクリックがパソコンの操作の主流になっていった。そしてその11年後の1995年、マイクロソフトが独自のGUIでを搭載したWindows 95を発売したのである。この歴史を振り返ると、アップル社がiPod、 iPhone、iPadとタブレット型端末を進化させてきた状況を横目で見てきたマイクロソフトがついにWindows 95の時のような戦略をとってきて、デスクトップのインターフェイスからスマートフォン、タブレット型の端末に至るまでのキラーOSとしてWindows8を出してきたのではないかと感じている。
筆者もWindows 95の発売時に秋葉原で午前0時に並ぶカウントダウンに参加したことがあるが、遅く行った割にはすぐ入手出来た記憶がある。それは多くの方がソフトウエアであるOSを買うために列に並んでいたのであるが、私はOSのプリインストールパソコンを買ったからで、違う誰も並んでいない列だったからである。入手して店員にダンボール台車で友人の車まで運んでいると、珍しかったのかテレビ局のインタビューを受けたのである。「なぜ、OSではなくてパソコンを買ったのですか?」「インストールするのが面倒くさいし、これからはソフトウエアがプリインストールされて売られるのが当たり前になりますよ」と答え、翌日のニュースステーションで放映され、親戚から「見たよ」という電話がたくさんかかってきたものであった。
筆者のコンピューターとの出会いは1974年にさかのぼる。米国の小学校のコンピューターセンター内のターミナルから地域のコンピューターセンターに黒電話でダイヤルし、応答したら音響カプラという装置に電話を装着し、当時はスクリーンもなかったのでキーボードをたたいてロール紙に入力するというものであった。そのときの記憶媒体は幅5センチほどの紙テープだった。Basicという言語で、スポーツなどのゲームを作っていたこと思い出す。そんな昔を思い出させてくれるほどWindows 8は色々な可能性を感じさせてくれる。現在発売されているWindows PhoneはWindows 8のMetro UIに非常に似ているので店頭ディスプレイなどで触ってみるのも良いかもしれない。
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