モバゲーが中国人の若者の自由を守る?

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に政府の規制

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中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の使用が禁止されていた。禁止されたのは3月30日から4月3日までの5日間だが、中国政府は2月にはウェイボーを実名登録に限るように規制を課したばかりだ。

規制の理由について、中国国営の新華社が報じたところによると、「根拠のない噂を広めたことに対する処罰」とのことで、約16のウェブサイトが閉鎖され、6人が軍隊に関するうわさをねつ造したとの理由で拘留された。3月初旬には共産党政府が薄熙来重慶市市委書記を解任したことでクーデターのうわさが広まった。インターネット情報局のスポークスマンは規定にのっとって処罰されたと話しているという。「アラブの春」の影響で中国当局は神経をとがらせているようだ。

とりわけ高学歴の若者たちが、時代の精神「ZeitGeist」を謳歌するように、自由に情報を発信するようになっている。

昨年7月の浙江省温州市で起きた中国高速鉄道の事故でも、政府が公表した死傷者数に疑念を抱いた中国のウェイボー・ユーザーから事故車両という物的証拠と事故の全貌が明らかになった。ユーザー数3億人を超えてなお増え続けるウェイボーのアクティブ・ユーザー。検閲が当たり前の中国だが、増え続けるユーザーの自由な情報発信を止めるのは難しそうだ。

中国人の基本的人権をゲームで守る

中国でウェイボーのユーザーが増えるのに伴って、ウェイボー・マーケティングも活発化している。DeNAも3月12日に、ウェイボーとポータルサイトの「新浪(Sina.com)」を運営する新浪(シナ)公司と業務提携したばかりだ。

しかし、提携を取り巻くマーケティング事情は、単に中国人にモノやサービスを売るためのメディアやチャネルの獲得というわけではなさそうだ。中国のニュースサイトChina.orgなどが報じたところによると、「ウェイボーによって、人々のインターネットとの接し方が急速に変化しているために、急増するデータ・トラフィックへの対応に追われ、ネット企業は収益化が追いつかない」という。

2011年の第四半期の業績について、新浪は約300億円ものウェブサイトのネットサーファーからの収益を失う一方で、ウェイボーのユーザビリティ向上のためのR&Dには約80億円もかかっていたという。CEOの曹国偉(Cao Guowei)氏は、ウェイボーのユーザーが増える度にコストが膨らんでいくことに頭を悩ませていると報じられている。利益を生み出すことができないまま、メンテナンスとR&Dのコスト負担が膨らみ続ければ、新浪は身動きが取れなくなり、ひいては中国人の知る権利や自由に発言の権利も失われてしまう。

DeNAとの提携は、新浪にとっては収益改善への希望の光となる。DeNAとの提携で収益が好転すれば、ウェイボーの運営は安定し、庶民の情報コミュニケーション・ツールとしての役割を、これからも担っていくことができる。

同時に、ソーシャルゲームを通じて、草の根の日中交流が進むことも期待される。両国のゲーム・クリエーターや人気タレント・俳優・キャラクターのコラボなど、クリエイティブ面でも展開が楽しみだ。

ウェイボーのためにも、日中交流のためにも、中国人にも大いにモバゲーを楽しんでいただきたい。もちろん、違法コピーなどせずに。

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