アメリカ人の6割超がハイブリッド車を2度と買わない?

アメリカ人の再購入への意向はたった3割 日本人の再購入への意向は9割超も

プリウス

アメリカ・テキサス州を走るプリウス
(Photo by Hadley Paul Garland)

4月9日、自動車関連のマーケティング調査やコンサルティングを行うポーク(Polk)は、ハイブリッド車オーナーのうち、ハイブリッド車を再購入する意向を示したのは35%しかいなかったことを報じた。

野村総合研究所が2006年9月、日本人900人を対象にした「ハイブリッド車に関するアンケート」では、ハイブリッド車オーナーのうち、「必ず購入する」と答えた人は30%、「条件によっては第一優先で検討したい」が64%という結果となっている。調査期間に違いがあるものの、日米で再購入の意向を示す人の割合は大きく異なる。

一方、非ハイブリッド車からハイブリッド車への初回購入意向は、日本での調査では、8割にのぼる(2010年、ネットエイジア調査)。これらの調査を踏まえると、日本ではハイブリッド車は、乗ってみたいし、また継続的に乗りたいクルマだが、アメリカでは乗り続けたいクルマではないようだ。

日米でクルマの平均使用年数が10年を超えた

ハイブリッド車を2度以上購入する意向が低い理由としては、コンパクトカーなガソリン車の燃費やその他の性能がよくなったことがあげられる。

Edmunds.comのチーフエコノミストのレイシー・プラーチェは、「ガソリン価格が高騰しても、高いハイブリッド車を買うほどの価値はなく、むしろコンパクトなガソリン車のほうがいい」という。

Edmunds.comがガソリン代の節約分とハイブリッド車の価格プレミアムを、ガソリン車と比較して投資回収期間を調べたところ、ガソリン価格が1ガロン4ドルなら、ガソリン車のシヴィックより4000ドル高いシヴィック・ハイブリッドだと10年、2280ドルのトヨタ・プリウスと1680ドルのトヨタ・カローラの比較では、7年かかる計算となった。

クルマを次々と買い替える人にとっては、投資回収できない計算になるが、アメリカ人の自動車の平均使用年数は年々伸びており、2011年には11年近くになっている(Polk調査)。また、日本では、2011年の自動車の平均使用年数は12.43年(自動車検査登録情報協会)となっており、多少燃費性能が落ちたとしても投資回収できる計算になる。

一方、同じくPolkの調査では、ハイブリッド車を再購入しなくても、トヨタ車を購入したいと考えるプリウス・オーナーは60%にのぼる(ホンダのハイブリッド車のオーナーのホンダ車購入意向は52%)。ガソリン価格の高騰や経済が停滞するなかで、日本でもアメリカでも燃費のいいクルマを長く大事に乗る傾向は共通してきている。そうなると長く付き合うクルマ・メーカーへの愛着も増すのではないだろうか。あるいは、クルマに対する愛着から長く大事に乗る人が増えている可能性はないだろうか。経済要因やテクノロジーの進歩だけでなく、人々のクルマに対する思いも変化しているのかもしれない。

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