私が「嵐・関ジャニ∞ライター」になれたワケ―別冊『編集会議』発売前・先読み[第2回]

鈴木夏希さん

政治や金融、科学技術といったカタいテーマから、スポーツやグルメ、インテリアなど身近なテーマまで、この世にはありとあらゆる専門分野を持ったジャーナリスト/ライターが存在する。その中で、人気アイドルグループ「嵐」や「関ジャニ∞」を追う20代の女性ライターに、オリジナリティーを発揮するヒントを聞いた。
(この記事は別冊『編集会議2012年夏号』(@henshukaigi)・5月11日発売号の記事を再構成したものです)

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好きだから続く、好きだから伝わる

1984年生まれの鈴木夏希さんは、新卒でデザイン事務所に入社。グラフィックデザイナーとして働いていた。人気アイドルグループ「嵐」に興味を持ち始めたのは2008年夏にドラマ「魔王」(TBS系)を見たのがきっかけだった。主演は同グループのリーダー・大野智。12月に事務所を退社したころには「嵐」熱が最高潮に達し、「空いた時間をすべてブログに費やして。とにかく爆発しそうな想いを、書いて解放したかったんです。ネタは次々にあふれ出してきました」。

次第にライターになる自分が見え始めた。挑戦したのはポータルサイト「エキサイト」が行った、アプリや書籍を紹介するコーナー「エキレビ!(エキサイトレビュー)」のライターオーディションだ。「ブロガーの私にとって、Webメディアのライターにつながるチャンス」。それをきっかけに、同コーナーの編集長に「勝手に」記事を出し続けた。結果、見事採用される。10年の年末のことだ。

その年のNHK「第61回紅白歌合戦」の司会は、「嵐」が務めた。その直前の記事を読むと、書籍『TEAM!チーム男子を語ろう朝まで!』(太田出版)のレビューに関連して、メンバーの細かな人間関係を“ファンの間では当然”とされる「コンビ名」を通じて紹介する。

例えば、リーダー・大野と共に年長組の櫻井翔の2人は「山(やま)」。櫻井は大野のことが好きでしょうがないのだという。記事を引用すると「大野を見つめる櫻井の目がキラキラとまっすぐで、恋する乙女のようになるのが特徴。対照的に大野は我関せず。基本的に櫻井の片思い。大野が何か目立ったことをしていると、かたわらで櫻井が食い入るように見ているか、人一倍大爆笑しているはず」とある。

「嵐が好きな人は世界中にたくさんいますが、だからこそ自分にしかできない表現を求めていて……。自分の表現に共感してもらうことよりも、読者に喜んでもらえそうなディテールを、いかにさりげなく表現するかに気を配っていました。やっぱり読んだ人に、嵐を好きになってもらいたいので」。

数多のネットライターの中で、嵐を追うことが仕事につながった。現在はまだ、企業の受付との二足のわらじではあるが、「ライティングとグラフィックデザインとを生かして、専業になれれば」と意気込む。「芸能ライターの友人は、“いい男“全般が好きなミーハーなのですが、イケメン俳優の中でも好きな演技を絞り込んでいったら、『悪役』にたどりついたそう。それは、その人にしか語れない切り口だと思います。私も『嵐』と、ほかのモノゴトを組み合わせて、世の中に新しい何かを生み出せたら」。

(この記事の全文は、『編集会議2012年夏号』にて)

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