「宣伝会議インターネットフォーラム2012」が6月6日、東京都内で開かれ、フェイスブックや動画活用、オウンドメディア、ECなどを、デジタルメディアやツールを活用したマーケティングをテーマに多くのセミナーが行われました。その一部を6月から7月上旬にかけて、本欄で紹介します。
宮崎清志氏(タワーレコード/CRM推進室ソーシャル・マーケティング担当部長)
「K-POP」にフォーカスしたソーシャルメディア活用
タワーレコードのミッションは、「音楽と出会う最良の場所」をすべてのお客さまに提供することです。音楽ファンとのタッチポイントであるSNSでも音楽との出会いを提供するべく、2009年にツイッターの本格運用を開始しました。その後ツイッターアカウントを徐々に増やし、よりターゲットを明確化したアプローチを行うと同時に、ユーストリーム配信なども積極的に進めてきました。そして2011年、ソーシャルメディアのさらなるマーケティング活用を目的に「ソーシャルマーケティング推進プロジェクト」を設置。同時にフェイスブックのアカウントも立ち上げました。
そもそも、小売りとしてソーシャルメディアを活用するからには「集客」、「売り上げ」をゴールとして設定したいと考え、ソーシャルメディア活用が売り上げに本当につながるものなのか、まずは本気でトライしてみようと始めたのが立ち上げの経緯です。
プロジェクトを推進していくにあたり、「今一番ビビッドに反応するジャンル」として「K-POP」を選びました。クチコミが期待できるユーザー層であり、タワーレコードのフィルターを通して発信する情報に価値があると感じてもらいやすい、そしてマーケットが拡大傾向でシェアを高めることで収益に結びつきやすい、と考えたからです。
成功の鍵はゴールの明確化と顧客目線の運用
とにかく「何が効くのか」を探るためにも、まずは全てのジャンルのSNSを活用してトライアルしました。各メディア特性に合わせたコンテンツを制作し、それぞれのメディアのファンにリーチできる内容を心がけました。具体的には、アーティストへのメッセージを募集しファンとアーティストの架け橋となる場を作ったり、店舗での売り上げとSNSでの投票結果を踏まえた参加型のアワードを立ち上げたりするなど、SNSの可能性を生かす施策を展開しました。
結果、SNSからのオンラインへの流入は飛躍的に向上し、コンバージョンも上昇傾向に。また、K-POP関連ページのトラフィックは前年比250%と大幅に増加し、オンラインへの集客・購買・会員獲得は2000万円以上の広告費と同等の効果を得ることができました。
成功の要因として考えているのが、運用のゴール(集客・売り上げに繋げる)が明確でぶれがなかったこと。そして、我々の“好き”を生かすことでファン(顧客)と同じ目線で運用でき、コンテンツ作りも楽しみながらできていることが大きい。プロジェクトを通じてタワーレコードと親和性が高いSNSが何なのか、そして実売に繋げるためには何が重要なのかも知ることができました。
今後も音楽の現場と相性の良いメディアを中心に、より幅広い音楽クラスタにアプローチするとともに、新たな施策を通じてROIも検証していきたいと考えています。
次回は伊藤ハムです。
連載【インターネットフォーラム】バックナンバー