アメリカの高校生に聞いてみた。「いま、ホットなソーシャルメディアはなに?」(1)

米国で日本企業のブランディングなどを手掛ける結城喜宣さんと高校生の娘・凛子さん(17歳)が、日常的に繰り広げられるデジタルライフをレポートします。フェイスブックやビデオチャットを使いこなす、アメリカ女子高生のインサイトとは? 日本にも出現しつつある、“デジタルネイティブ”のリアルに密着します。

高校生約100人にリサーチ「ソーシャルメディアの利用実態」

7月中旬。カリフォルニアの高校生が夏休みに入って1カ月が経つ。高校の夏のプロジェクトというわけではないが、このコラムのために娘に簡単なアンケート調査を行ってもらうことにした。

というわけで、4回目のコラムは、高校生の娘が担当することになった。彼女がSurvey Monkey(サーベイモンキー=オンラインの調査ツール)を使って周辺の高校生に行ったソーシャルメディアの使用における調査結果を発表したい。本文は彼女自身のものであるが、小学校5年から中学2年までしかフルタイムでの日本語の教育を受けてないため、多少文法や言葉の使い方に幼さが残るのはお許しいただければ幸いである。

また、プロがやるような量的調査の類いではない。今回、高校生の娘は、EmailやFacebookを使って約100人の米国人高校生から回答を得た。その結果に、彼女の見解を加えている。まして、サンフランシスコやニューヨークといった全米各都市で行っている大規模な調査でもない。そのため、あくまでもこれは全米の高校生の傾向ではなく、南カリフォルニアの一部の高校生の傾向であると捉えるのが正しいと思う。これを読んでみるといかに米国の高校生の生活にソーシャルメディアが入り込んでいるのかがわかって面白い。

さて、ここから娘にバトンタッチをしたいと思う。

第1位はFacebook。宿題にもテスト勉強にも欠かせない!

今回は父に代わってコラムを書かせていただきます。アメリカの高校生がどのようにソーシャルネットワークを使用しているかを調べるため、私はSurvey Monkeyというオンラインの調査ツールを使ってアンケートを実施しました。

調査に協力してくれた約100人の高校生の全員が使っていたのはやはりFacebook。私たちの世代において、Facebookは必須とも言えるほど頼られているソーシャルネットワークの一つであることが言えると思います。

私たち高校生の場合、Facebookは宿題の場、相談の場、そして日々の暮らしを紹介する場になっています。ブログとは違い、短文で簡単にものをシェアしたり投稿したりすることができるからです。例えば宿題が何だったか忘れてしまっても大丈夫。たとえそれが深夜だったとしても“Hey people in Mrs.Smith’s class, what was the hw for tmr?”「みんなー!スミス先生の宿題ってなんだったっけ?」と投げかければ5分以内にはコメントが殺到するのです。「あー、僕も知らない」、「え?宿題なんかあったっけ?」というような具合です。一般的に、高校生のFB友達は平均500人以上。時間帯は、夕方7時頃から深夜が使用のピーク。特に期末試験やプロジェクトの締め切りに近づくほどFacebookにたむろっている子が多くなります。

第2位は男子に人気のYouTube。授業で動画作成も。

調査の結果、2位はやはりYouTube。特に男の子の方の使用率が多いのではないかと思います。たとえば、男友達や友達の弟などがコンピューターを使っているところをのぞくと、みんな、プランクビデオ(おバカなビデオ)や車のレースビデオなどを検索して、ごろごろしながら面白がっていつまでも見ていることが多いのです。「見てよ、これメチャ笑える!」と言われて見ると“HAHAHA……”と苦笑するようなものがほとんど。何が面白いのだろう?と思いながら付き合って観賞している感じです。

一方、女の子もYouTubeを使っていますが、使い方は少し違います。私は主に音楽を検索し、ミュージックビデオを見たりしています。たまにパーティー用のメークや髪の毛のチュートリアルを検索して、自分で新しいメークやヘアに挑戦したりもします。自分のYouTubeチャンネルを持っている友達もたくさんいますが、私もその一人で、授業のプロジェクトで作ったビデオなどをアップしています。

YouTube_picture10

昨年の3月に起きた東日本大震災の募金活動の呼びかけのためのビデオも自分で作り、学校内放送とYouTubeで流しました。いろいろな方のビジュアルや音楽をお借りし、自分が石巻や南三陸町で撮影をしてきた写真と組み合わせ、ナレーションを録音し、iMovieで編集をしました。その結果、ビデオ募金だけでも$1000以上集まったのをみて、 YouTube は情報を伝えるのに便利で効果的な方法だと改めて実感しました。

第3位は、学校のプロジェクトに欠かせないあのツール

さて、FacebookとYouTubeの次に人気があったソーシャルネットワークはなんだと思いますか? 1位、2位とはずいぶん得票に差がつきましたが、Skypeです。今、ほとんどの友達がスマートフォンを持っていますが、スマホでもラップトップでも話せる無料電話は未だに魅力的です。グループでも話せて、いつも友達といるような感じ。宿題を一緒にやったり、カメラで新しい服を見せ合ったり、部屋がどれだけ汚いかを自慢しあったり。一緒にいないときも、色々な方法で友達とつながっていたいと思っている高校生には必要なツールです 。

survey monkey

Survey Monkeyを使っての調査結果。

学校のプロジェクトは、FacebookとSkypeの組み合わせがとても便利です。私の高校では、クラスの数人がグループになり、ひとつのプロジェクトを提出することが多いのですが、クラブやアルバイトで忙しいクラスメイトたちは、どこかに集合してプロジェクトに取り組むのが難しいのです。でも、今ではFacebookやSkype、そしてGoogle Documents (Google Docs)があるため、その心配もいらなくなりました。

Facebookではたいがいグループメッセージで一斉チャットをし、どういうプロジェクトにしたいか、誰がどの部分をやるか、何を目標とするか、など話し合うことから始まります。けれどもチャットだけではスムーズに会話が進みません。その場合は、夜になってからSkypeで4、5人をつなげて話し合うことが多いのです。そしてもう一つ、プロジェクトに欠かせないのがGoogle Docs。これはGoogleアカウント上のドキュメントをシェアする機能で、仲間と承認された人が見ることのできるオープン・ドキュメントのことです。

このドキュメントには、同時に複数の人が編集や投稿をすることができるため、高校生の間では人気です。「メルアド教えてー」とFacebookで声をかけ、一人がグループメンバー全員を Google Docsにインバイトし、ドキュメントを始めればOK。あとは話しながらみんなで編集し、一人で時間のあるときに付け足しをする。「私が書いたところチェックしてくれる?」と頼めば文法やスペルミスなどを直してくれるし、「何か付け足すことある?」と自分が書いた部分の下に文字の色を変えて残し書きをしておけば誰かが情報を付け足してくれる。Facebook、SkypeそしてGoogle Docsはプレゼンが多い高校の授業には必須なアイテムなのです。

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複数名のプロジェクトを進めるときにGoogle Docs を活用している。写真真ん中のオレンジと青のマークは同時に他の友達がドキュメントを修正しているところ。写真右側では同時にチャットもできる。この他スカイプでつなげて話し合いながらプロジェクトを進めている。

高校生が「Twitterは使いにくい」と感じている理由

一方、高校生の間では不人気なソーシャルネットワークも多数あります。その一つがTwitter。このアドタイのコラムを見ていてもわかりますが、日本ではたくさんの方々が Twitterを使用し、さらにはコラムをRetweetしてくださっているため、不人気だとは信じがたいと思います。しかし、アメリカの高校生はTwitterを使わないという統計が一般的にも出ています。案の定、私が行った調査でもユーザーであると名乗りをあげたのは、ほんの一握りの人たちでした。なぜでしょうか?私も Twitterのアカウントを数年前に作ったものの、途中で飽きてしまい放置状態となってしまった一人です。

私がTwitterを使いにくいと思ったことをいくつかあげてみると、英文140Lettersという制限があること。これは日本語の140文字に比べて少なく不自由なのです。次にFacebookと比べて、人とのインタラクションが少ない。そして、フィードバックが少ないということです。アカウントは作ったものの、使っていないという友達に問いかけても同じような反応が返ってきました。Facebookに慣れてしまったから、 Twitterの書き込みがやけに独り言みたいになって淋しいと言う意見がある半面、しかしその独り言みたいな投稿が好きでTwitterを使っているという意見の人もわずかではありますがいました。このコラムを読まれている方の中でも、それぞれのツールの特徴を活かし、TwitterとFacebookを使い分けている方が多いのではないでしょうか。

もう一つ高校生に不人気なソーシャルメディアはブログ。回答者のブログユーザー率はゼロに近かったのが印象的でした。私もFacebookを始めてからブログを使わなくなりました。Facebookが生活の大半になり、私を含めたくさんの人が新しいソーシャルネットワークに移行したため、ブログも人気が落ちたのだと思います。もっと自分の生活を身近な人に紹介し、同時に様々な反応をもらえる場となっているFacebookには今のところどのネットワークも勝てないように思います。

さて、統計では目立たなかったものの、3人に1人の割合で使っていると答えたソーシャルネットワークはTumblr。そして、Instagram、Yelpと続きます。名前を聞いたことがあるものの、あまり機能を知らない方もいらっしゃるかもしれません。次回は、このTumblrとInstagram、そしてPinterestなどについてお話をさせていただきたいと思います。Talk to you soon:)

結城喜宣 「アメリカ女子高生デジタルネイティブ日記」バックナンバー

結城 喜宣(Ys and Partnersエクゼクティブ・クリエイティブディレクター)/結城 凛子(17歳)
結城 喜宣(Ys and Partnersエクゼクティブ・クリエイティブディレクター)/結城 凛子(17歳)

日米に拠点を置くCreative Brand Communications – Ys and Partners のエクゼクティブ・クリエイティブディレクター。JWTを経て、2002年に日本ブランドを世界で有名にすることをミッションに、米国カリフォルニア州に本社設立。2005年には横浜市に日本支社を設立。日米グローバル企業のブランド・コミュニケーションを成功に導いている。ブランド戦略に基づいたクリエイティブなストーリーテリングが持ち味。宣伝会議コピーライター養成講座にて「自分の名刺塾」などを担当。
Facebook: facebook.com/ysandpartners
Twitter: @YSAP_NobuYuki
Web: ysandpartners.com

結城凛子(ゆうき・りんこ/カリフォルニア州の高校3年生 テニス部在籍)
父と母の冒険に伴い4歳の時に渡米。再度、両親の冒険につきあい、小学5年から中学2年までを横浜市で過ごす。中学の時は演劇部部長、高校からは全米トップのテニス部に在籍。東日本大震災の支援活動のリーダーなどを務める。米国本場のデジタルネイティブ高校生。
Facebook: facebook.com/thethousandcranesproject

結城 喜宣(Ys and Partnersエクゼクティブ・クリエイティブディレクター)/結城 凛子(17歳)

日米に拠点を置くCreative Brand Communications – Ys and Partners のエクゼクティブ・クリエイティブディレクター。JWTを経て、2002年に日本ブランドを世界で有名にすることをミッションに、米国カリフォルニア州に本社設立。2005年には横浜市に日本支社を設立。日米グローバル企業のブランド・コミュニケーションを成功に導いている。ブランド戦略に基づいたクリエイティブなストーリーテリングが持ち味。宣伝会議コピーライター養成講座にて「自分の名刺塾」などを担当。
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結城凛子(ゆうき・りんこ/カリフォルニア州の高校3年生 テニス部在籍)
父と母の冒険に伴い4歳の時に渡米。再度、両親の冒険につきあい、小学5年から中学2年までを横浜市で過ごす。中学の時は演劇部部長、高校からは全米トップのテニス部に在籍。東日本大震災の支援活動のリーダーなどを務める。米国本場のデジタルネイティブ高校生。
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