インターネット上でモノを売る際、ランディングページを作り、ユーザーの興味を引き付ける必要がある。九州で一貫してダイレクトマーケティング型ネット広告に従事する、売れるネット広告社の加藤公一レオ氏が良いと考えるランディングページを紹介してもらう。
第11回は加藤氏が力を入れるフォローメールについて紹介する。
ここでは、『販促会議』2012年9月号に掲載している第11回の全文を掲載します。
ビオメディクス「ばらじゅりえ」
文:売れるネット広告社 代表取締役社長 加藤公一レオ氏
ネットで引上率やリピート率を上げるには、レスポンス・引き上げ・リピートの各ステージで「専用フォローメール」を制作することが重要と前回伝えた。だが、企業から送られる多くのフォローメールはお客さまに無視され続けている。それらのフォローメールのダメなところは、初回申込み日と関係なく、一斉配信しているところだ。お客さまが申込むタイミングはそれぞれ違うにもかかわらずだ。
例えば、「7日分」のお試しサンプルを申込んだお客さまには商品到着「6日後」くらいに「本商品はいかがですか?」と引き上げ専用フォローメールを送る。また「30日分」の本商品を申込みしたお客さまには、商品到着「25日後」くらいに「定期で継続しませんか?」とリピート専用フォローメールを送れば、引上率、リピート率が劇的に上がるのだ。
またお客さまがネットにアクセスする時間や消費意欲がある時間帯もそれぞれ違う。夜20 時に申込む人もいれば朝10時の人もいる。従って、フォローメールの効果をさらに上げるには、配信タイミングを「初回申込み時間」に合わせて送ればいい。初回申込みの時間帯なら、ネットにアクセスしていて、消費意欲があるタイミングの可能性は高い。
一般的に通販は、初回申込み時にID/PASSを登録し、2回目以降はID/PASSでログインする方式をとる。だが実はレスポンスを低下させる一番の原因はここにある。多くのお客さまにとってID/PASSの登録は面倒であり、2回目を申込む段階で、ショップサイトのID/PASSなど忘れているからだ。
引上率・リピート率を上げる最強の方法は、フォローメールから「2クリック」で申込みができるようにすることである。つまりフォローメール上でお客さまごとに個別のURLを準備し、URLをクリックすると、自動的に引き上げ専用ランディングページやリピート専用ランディングページのフォーム上に、初回申込みした際のお客さま情報がすべて記入済みの状態で表示されるようにすることである。この方法がお客さまにとって一番楽な方法であり、ID/PASS方式に比べコンバージョン率は1.5倍~2倍ぐらい上がり、引上率・リピート率が劇的に上がるのだ。
またメールのごみ箱行きを避け、生存率を上げるには、フォローメールの「見た目」や「性格」が重要になってくる。ここを工夫することにより、フォローメールのレスポンス率は劇的に上がる。
送信者名は「個人名」に
どのメールを開封するか直感的に判断する際、ふるい落としの条件となるのが、メールの「送信者名」である。多くのフォローメールは「送信者名」を「株式会社○○」などと企業名で記載している。そのため「ただの広告メール」と認識され生存率が低くなってしまう。ただしお客さまは、メールの向こう側に人間性を感じたとき、「何も確認せずに破棄する」ことはしなくなる。そこでオススメしたいのが送信者名に「個人名」を入れること。それにより、お客さまはそのメールを無視できなくなり、メールの開封率は劇的に上がるのだ。
件名は「業務連絡風」に
多くの企業は「件名」を目立たせようとあおりすぎである。開封してもらおうと、件名にいきなりキャンペーン情報や絵文字などを入れたりして必死なのである。だが、こういう派手な件名は売り込み広告と認識され無視される。メールの開封率を上げる件名とは、ズバリ業務連絡のような件名である。友人や取引先から来るメールの件名は落ち着いた普通の件名になっているはずだ。従って、まるで友人から来るメールのような普通の件名をつければ、お客さまはメールを開封してくれる。
開封後の第一印象を良く
送信者名や件名を改善して開封率を上げたとしても、肝心のメールの中身を読んでもらわないと意味が無い。そのためにはメール本文の第一印象が重要になる。見た目がダメなメールには共通点がある。
✕ 絵文字や装飾文字が多用されている
✕ URLの貼り付けが多い
✕ あらゆる商品(やキャンペーン情報)を単純に羅列している
つまりは、「いかにもセールス」だからダメなのである。
読まれるメールは、友人から来るメールと同様、愛を持って読者一人ひとりに語りかけるようなメールである。他社の広告メールに紛れ込まないような人間性を演出した「性格」の良いメールは
- 冒頭で個人名を名乗っている
- 単語の羅列ではなく、筆者の言葉で記述されている
- 顧客の個人名も文中に記述されている
- 用件以外の話題もあり、人間性が伝わってくる
もうお気づきかと思うが、メールも人と人とのコミュニケーション。一番に意識すべきなのは、「顧客を1人の人間として捉え、売る側も人間として対話のシチュエーションを醸成していくこと」なのである。メールマーケティングにおいては、お客さまが「必要なタイミング」でメールを送り、送信者名、件名、メール本文で人間性を演出し、お客さまが「申込みしやすい方法」を提供するだけで、「捨てられないメール」は「読まれるメール」へ、そして「信頼を得られるメール」へと進化し、結果的に引上率やリピート率を劇的に上げることができるのだ。
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加藤公一レオ氏(かとう・こういちれお)
ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。大学卒業後、三菱商事、Euro RSCG、ADKにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事。現在は、単品通販が数多く存在する九州において、ネット広告ビジネスの総合プラニングおよびコンサルティング活動を行っている。
ウェブサイト:www.ureru.co.jp