「宣伝会議集客・販促メディアフォーラム2012」が8月28日、29日、東京国際フォーラムで開かれ、新カテゴリを切り拓いた商品の販促、ネットと連動して店舗へ集客した施策、チラシ活用、消費者の行動観察などをテーマに、多くのセミナーが行われました。その一部を9月から10月上旬にかけて、本欄で紹介します。
大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部 事業販促企画室 室長 武田悟士氏
企業価値の向上へつなげるローカル対応
現在、大和ハウスでは流通店舗事業においてシェアNO.1の実績となっています。この背景にはホテルやスポーツクラブ、ホームセンターなどのグループ会社を通じて顧客とのタッチポイントを増やし、それが成約率の向上の一因となっているとも考えています。
テレビCMを通して、社名認知度は98%と非常に高い数字を表していますが、社名を知っていることと、どのような企業であるかを知っていることは違います。
戸建住宅の「xevo(ジーヴォ)」の認知度は平成8年頃の24%をピークに、以降は減少傾向にあります。こうした現状からも、社名認知度だけでなく、大和ハウスの事業を理解してもらい、提供価値をはっきりさせていかねばなりません。つまり、選ばれる会社になるための理由を明確化することが求められるということです。そのためにはエリア毎のコミュニケーション施策、ローカル対応が必要になってくると考えました。
現在、83の支社や支店がありますが全国的に一律の告知、販売をするのではなく、地域ごとに時期や媒体を変えながら販売していきます。各支店の中にあるリビングサロンは商談の前の相談の場として、お客さまとの最高の接点の場に進化させていきます。この場を活用しながら、地域の実情に合わせた細かい対応に努めているところです。
営業支援の広告制作システムの導入
4年前から広告制作・管理に関する業務改善プロジェクトとしてDWP(Daiwa Work Place)広告制作システムを導入しています。
これは営業担当者がパソコン上で自ら広告を作るシステムです。このシステムによって効率的な広告制作システムと内部チェック体制を確立しました。
導入目的の一つはコンプライアンスの徹底です。広告規制への対応を徹底することで、ミスが減り、違反広告がなくなりました。その上でクオリティの向上、コスト削減を視野に入れたのです。
導入後、自分で作ることで社員の意識向上をもたらし、さらに広告宣伝費は2~3億円の削減を図ることでき、販促費を有効活用することができています。
今後も引き続き、ローカル対応を課題として取り組んでいきます。企業価値の向上と地域の実情に合わせたローカル対応、この2つのバランスを上手にとりながら今後も地域シェアNO.1を目指していきます。
→次回はシードです。
【バックナンバー】
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