アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。
宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。
本日は、赤城廣告の赤城廣治さんへのインタビューを紹介します。
宣伝会議賞への応募経験もある赤城さん。当時の応募作品の一例も公開していただきました。最近の仕事としては、大塚食品 クリスタルガイザーの広告コピー「地球が『飲め』と言っている。」が挙げられます。クリスタルガイザーのコピーはこちらからも見られます。
――コピーが浮かぶのは、どんな瞬間でしょうか?
赤城さん オリエンを受けた日から、日々書き溜めたメモを、打ち合わせの数時間前にまとめるべくMacに打ち込む。そこに、さらに加筆する時に、ベストなコピーが生まれることが多いです。
――まずはとにかくアイデアを書き出してみる。そして、それに再び目を通しながらまとめていく。自分のアイデアを客観的に見る機会を、意識的につくると良いのかもしれませんね。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?
赤城さん 自分の会社の原稿用紙、ボールペン(できればペリカン)、適度な雑音です。
――赤城さんは宣伝会議賞への応募経験もお持ちですよね。当時のエピソードを教えてください。
赤城さん 僕は賞の手前の最終ノミネートまでしか辿り着けませんでした。炎でおいしくご飯が炊けるガス炊飯器(だったと思いますが)のコピーで、「全米総立ち」というコピーでした。ん~青かったなぁ。いわゆる「よくあるコピー」を「できたぜ!気分」で応募していた口だったかもしれません。
――第50回宣伝会議賞も、応募締切まであと1カ月を切りました。コピーライターを目指す応募者の皆さんに、メッセージをいただけますでしょうか。
赤城さん ツイッター、フェイスブック…あらゆる人がコトバを発信している。「いいね!」をたくさん集めるコトバもある。そんな時代のコピーライターとは…たくさん考えたコトバの中からベストを選び、企業のコミュニケーションをぐいっと引っ張れるコピーはコレだ!と推せる人。つまり独自の「いいね!」を押せる人だと思います。
――「量が質を生む」とも言われるように、数多くのアイデアを発想することももちろん大切です。しかし、そのアイデアの中から、「これは!」という一本を決めて、その言葉に賭ける勇気も、同時に必要なのかもしれません。持てるアイデアを一通り出し切り、そろそろ、応募作品を精査する段階に入る応募者の方もいらっしゃるのでしょうか?皆さんそれぞれが「いいね!」といちおししたコピーに出会えるのが楽しみです。
次回は、電通関西支社 TOKYO ROOMの森田直樹さんへのインタビューを紹介します。森田さんが考える、コピーライターが担うべき役割についても伺いました。ご期待ください!
赤城廣治(赤城廣告/コピーライター、クリエイティブディレクター)
1966年生まれ。最近の仕事に、コスモ石油「ココロも満タンには、その人から始まる」、クリスタルガイザー「地球が『飲め』と言っている」、シャウエッセン「最高のレストランは、野菜畑だと思う」、ホノルルマラソン「GOAL FOR ALL」、TBSテレビ「それ、TBSがやります」。TCC新人賞ほか。
【宣伝会議賞1分アドバイス バックナンバー】
- 中村猪佐武さん「良いコピーを生むのは、ADやプランナーとの『あーでもないこーでもない』」
- 岩田正一さん「コピーライターは、『想いを言葉にする』仕事」
- 服部タカユキさん「コピー講座で教わったことを愚直に守り続けた」
- 安路 篤さん「コピーは、発見と切り口」
- 薄 景子さん「編集者の感覚を持つと“生きたことば”が書ける」
- 小川英紀さん「机の前でウンウンうなる」
- 玉山貴康さん「受賞できなかった悔しさが、今につながっている」
- 鵜久森 徹さん「アイデアを練る場所に、こだわりはない」
- 吉澤 到さん「クライアントがコピーライターに期待する役割はより大きく、重くなっている」
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。