「コピーを考えるときは、人の想いを想う」という仲畑さんの言葉
宣伝会議賞が始まってから約1カ月が経ちました。10月1日時点のコピーの本数はちょうど4000本です。1日最低100本と決めて毎日コツコツと書きためていますが、本数を書くことを目的にするのではなく、いいものを生み出すための手段として書き続けるように意識しています。
コピーは出社前や、昼食中、退社後に集中して書いています。仕事もそうですが、社内のデスクでは全然集中して書けないので、少しでも早く退社し、24時までは家に帰らないと決めて、自宅近くの本屋兼カフェで黙々と書いています。意志が弱く、すぐにサボってしまうため、自宅でコピーを書くことはありません。
課題は、書いていくうちに考えやすい課題と考えにくい課題と分かれてくるので、各課題最低100本ずつというハードルを越えたあとは、考えやすい課題を重点的に書くつもりです。
先日仲畑貴志さんが、ラジオでこうおっしゃっていました。「コピーを考えるときは、人の想いを想う」と。自分の中からコトバを生み出すのではなく、誰かの想いや、世に漂っているけれど、まだ誰も言語化できていないコトバを見つけられるようにしたいです。
この賞には、顔の知らないライバルがたくさんいる。
宣伝会議賞のコラムでこんなことを書くのも変な話かもしれませんが、宣伝会議賞に取り組むのって、ちょっとかっこわるい、なんて思ったりしています。もう少し正確な表現があるとすれば「クールではない」なぁと。
確かに、「俺、ヤングカンヌの…!」とか「俺、毎日広告デザイン賞の…!」とか言っているほうが、はるかにカッコイイ。この賞って、地面を必死に這っているというか、暗闇の中をさまよっているというか、なんだか、湿っぽい雰囲気が漂っているんですよね。何万人も走っているのにゴールできるひとが、ごく少数なところとか、まさに過去のグランプリ作品である「精子だった頃の運をもう一度。」(※)な賞ですし。
でも、そこが好きだったりします。純粋にコピー1本で勝負ができて、やればやるほど結果が出る。(出ないときもありますが)その泥臭さが、ぼくは好きなのかもしれません。
あと、この賞には、顔の知らないライバルがたくさんいます。いいコピーを書くひとや、どの課題でも通過しているひと、名前がカブっているひとなど、たくさんいます。そんな顔の知らないライバルたちと戦えるのも、この賞の魅力のひとつだと思います。
時間なんてものは、言い訳できないほどある。仕事だってあるし、プライベートだってある。でもそれを言い訳にしていたら、いつまで経ってもコピーの山はできないし、突き詰めていけば、よっぽどのことがない限り、時間は作れると思うのです。残り1カ月を切りましたが、最後まで自分に言い訳をしないで書き続けたいと思います。
自分が休んでいるときは、誰かのチャンス。誰かが休んでいるときは、自分のチャンス。何事も同じですね。
最後まで頑張りましょう。最後まで頑張ります。
※事務局注)第38回(2000年)宣伝会議賞のグランプリ作品。課題は「宝くじ / LOTO6」。
明日は、藤田雅和さん(36歳)の「宣伝会議賞チャレンジ宣言(2)10月の試練編」をお届けします。
挑戦者16人のプロフィールはこちらから。
【宣伝会議賞チャレンジ宣言 郡司 淳さんバックナンバー】
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。