インターネット上の口コミマーケティングを手掛ける事業者らによる任意団体「WOMマーケティング協議会」(WOMJ)は21日、WOM(Word Of Mouth=口コミ)マーケティングの運用に関するガイドラインを改定したと発表した。従来のガイドラインに項目を追加したほか、言葉の定義や適用範囲をより明確にした。ブログや口コミサイトへのやらせ投稿事件が社会問題化する中で、広告主や支援する事業者側の自主規制を促す狙い。2013年1月21日から施行する。
具体的には、従来のガイドラインに記されていた「関係性の明示」と「社会啓発」の原則に、新たに「消費者行動偽装の禁止」を加えた。これは、フェイスブックの「いいね!」数などの水増しも含め、現実とは異なる消費者行動や評価を装うことを禁止するもの。旧ガイドラインでは「前文」と「基本理念」、2項目からなる「ガイドライン」に分かれていたが、前文と基本理念に当たる項目について、位置付けや定義を厳密に定めた。
現行のガイドラインは2010年3月に定めたもの。当時はブログが主な対象で、企業などが謝礼を支払いブロガーに商品について書いてもらう「ペイ・パー・ポスト」と呼ばれる手法が横行し、企業からの依頼や金銭の授受が明らかになっていないことが問題視されていた。そのため、企業の依頼を受けてブログなどに書く際は、依頼を受けていることや金銭の授受があればそれも含めて明示する「関係性の明示」をガイドラインに掲げた。
今年1月に飲食店のランキングサイト「食べログ」にやらせ投稿を行う業者の存在が発覚し、「ステマ」という言葉とともに社会問題に発展したのをきっかけに、WOMJではガイドライン見直しの検討を始めた。ガイドラインは業界の自主規制で法的拘束力はないが、WOMJの会員外も含めて広く浸透させたいとしている。
「口コミマーケティング」関連記事はこちら